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急速な合従連衡と混迷極まる地政学的リスク、自動車業界のゆくえを聞く製造マネジメント インタビュー(1/2 ページ)

自動車業界の再編が加速している。直近の動きを振り返ると、2019年10月30日には日立オートモティブシステムズ、ケーヒン、ショーワ、日信工業が経営統合を発表。続く同月31日にはFCAとGroupe PSAが、さらに続く11月1日にはアイシン精機とアイシン・エィ・ダブリュが経営統合に向けて基本合意したことを相次ぎ発表した。

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 自動車業界の再編が加速している。直近の動きを振り返ると、2019年10月30日には日立オートモティブシステムズ、ケーヒン、ショーワ、日信工業が経営統合を発表。同月31日にはFiat Chrysler Automobile(FCA)とGroupe PSAが、続く11月1日にはアイシン精機とアイシン・エィ・ダブリュが経営統合に向けて基本合意したことを相次ぎ発表した。


IHS MarkitのMark Fulthorpe氏

 自動車メーカー(以下、OEM)とサプライヤーの各々で活発な合従連衡の動きが見られるが、その背景には技術競争力や生産能力の確保に対する大きな課題意識がある。「1社のOEMやサプライヤーが単独で(CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)など次世代の自動車に関わる)全ての課題に対処できるかは、財務面およびエンジニアリングリソースの面から疑わしい」と、IHS MarkitでLight Vehicle(一般的な乗用車やライトトラックなどを含めた広義の乗用自動車)におけるグローバル生産予測を統括するMark Fulthorpe氏は指摘する。

 Fulthorpe氏は「FCAとPSAの経営統合は、(以前検討されていた)FCAとRenault(ルノー)の経営統合よりも良いものであるようだ」との考えを示し、「FCAがルノーに提案していた内容は、既存の同盟(ルノー・日産・三菱アライアンス)にとって何を意味するのか不確かだった。 一方で、現在FCAがPSAに呼びかけているものは多くの人々を納得させる説明だ」と述べる。

 FCAとPSAの経営統合が両社にもたらすメリットは、FCAが得意とする北米、PSAが得意とする欧州市場に対して相互に進出の足場を築くこと、そして車両プラットフォームを共用化し研究開発コストを抑制することだ。

 「PSAは北米市場への参入計画を既に公表している。2016年に発表した経営戦略では、北米市場参入に向けた長期計画の概要を説明していた。(PSAは)FCAとの合併によって、米国内における物流、製造資産へのアクセスが可能になる。また、市場シェア2位の欧州でもさらなる規模拡大を狙える」

 そして、FCAの狙いは研究開発投資の合理化にあるとFulthorpe氏は分析する。「FCAは次世代の車両プラットフォームへのリプレースサイクルを遅らせている。彼らはキャッシュを節約しようとしており、ビジネスにおいて最初に投資が圧​​迫されるのは基礎研究費の一部だ。そして、車両プラットフォームの開発元を明らかにする必要もない」(Fulthorpe氏)。

 資本関係で独立を維持するOEMも、特定領域における協業には積極的な姿勢を見せる。冒頭のように系列サプライヤー再編を進めるホンダだが、2017年にはGM(General Motors)と燃料電池システム領域で、次ぐ2018年には自動運転領域で提携するなど新領域での提携を急ぐ。また、同じく資本面で他のOEMグループとの関連が薄いBMWも、長城汽車など中国OEMとの合弁会社設立やジャガーランドローバーとの電動化技術の共同開発を進めている。Fulthorpe氏は「このトレンドを鑑みると独立系OEMも協業を進めていくだろう」と述べた。

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