「自動運転車は既存自動車メーカー製でなくてもよい」と3割以上が回答:自動運転技術(2/2 ページ)
デロイトトーマツグループは「転換期を迎えた自動車産業の注目すべき3つの論点」をテーマとし、メディアセミナーを開催。本稿では同セミナーの中から、「CASE」についての消費者意識調査の内容を3回に分けて掲載する。第2回は「自動運転(A)」についての消費者意識の変化について紹介する。
自動運転に対する不安は「安全性」と「事故時の責任」
自動運転に対する不安については「自動運転機能の安全性に対する懸念」と「事故時の責任」が70%以上の回答を集めた。この傾向は5年間変わっていない。一方で「心理的な抵抗感」は25%前後だったが2019年調査では20%へと下がっており「抵抗感はやや薄らぎ、心理的ハードルは下がってきているのではないか」と濱田氏は語っている。
一方で自動運転を行うのに必要な車外とのデータ通信に対する不安は高まっており「データ通信における個人情報漏えいへの懸念」への回答率は33%になった。5年間の調査で徐々に増えてきており「サイバー攻撃への懸念が高まっている」(濱田氏)としている。
自動運転車両は既存自動車メーカー製でなくてもよい層が拡大
自動運転車両のメーカーに対する嗜好については、50%以上が「従来の自動車メーカー」と回答している。この傾向はここ5年の調査でもほぼ変わっていない。しかし、GoogleやAppleなどの「IT企業」とした回答も7%となり、比率はわずかずつではあるが年々増加している状況だ。さらに「特にこだわらない」とした層も26%となっており拡大傾向を示している。これらの「既存自動車メーカーでなくてもよい」とする回答比率は33%に達しており、比率を高めている状況だ。
自動運転機能に出せる金額は30万円未満が8割
「従来の自動車に対し追加費用がどの程度であれば自動運転機能付きの自動車の購入を検討するか」という質問に対しては、「30万円未満」が80%を占めた。一方で「50万円未満」まで拡大すれば価格差を容認する層は91%まで拡大する。
「追加費用なし」で実現してほしいと考える回答者も42%を占めているが、「100万円以上」追加費用を払っても自動運転機能が欲しいと考える人が4%は存在している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 日本でEVが普及しないのは「高い」(と思われている)から
デロイトトーマツグループは「転換期を迎えた自動車産業の注目すべき3つの論点」をテーマとし、メディアセミナーを開催。本稿では同セミナーの中から、「CASE」についての消費者意識調査の内容を3回に分けて掲載する。第1回は「電動化(E)」についての消費者意識の変化について紹介する。 - レベル3の自動運転の普及は伸び悩む? 提案は無人運転シャトルや小口配送に
「レベル3のシェアは2030年から横ばい」という市場予測を反映してか、2019年のCESでは無人運転車に関する展示が多くみられた。ドライバーが運転に復帰する必要のあるレベル3の自動運転と、システムが全ての動的運転タスクを担うレベル4〜5。それぞれについて、2019年は法的な議論や技術の熟成が一層進みそうだ。 - 1社では難しい「レベル4」、オープンソースの自動運転ソフトが提供するものは
「人とくるまのテクノロジー展2018」(2018年5月23〜25日、パシフィコ横浜)の主催者企画の中から、ティアフォーの取締役で、名古屋大学 未来社会創造機構 特任教授でもある二宮芳樹氏の講演を紹介する。 - なぜ“自動運転”の議論はかみ合わない? レベル3とレベル4を分けるのは
「人とくるまのテクノロジー展2018」の主催者企画の中から、筑波大学 システム情報系 教授である伊藤誠氏の「自動運転」に関する講演を紹介する。 - 開発加速するLiDAR、レベル3の自動運転に向けて
レベル3の自動運転システムに向け、LiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)の開発が加速している。サプライヤー各社がライダーの量産を開始する時期は、2020年ごろに集中する見通しだ。「人とくるまのテクノロジー展2018」にサプライヤー各社が出展したライダーを振り返る。