日本でEVが普及しないのは「高い」(と思われている)から:電気自動車(1/2 ページ)
デロイトトーマツグループは「転換期を迎えた自動車産業の注目すべき3つの論点」をテーマとし、メディアセミナーを開催。本稿では同セミナーの中から、「CASE」についての消費者意識調査の内容を3回に分けて掲載する。第1回は「電動化(E)」についての消費者意識の変化について紹介する。
デロイトトーマツグループは2019年10月2日、「転換期を迎えた自動車産業の注目すべき3つの論点」をテーマとし、メディアセミナーを開催。本稿では同セミナーの中から、「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアード、電動化)」についての消費者意識調査の内容を3回に分けて掲載する。
CASEについての意識調査を実施
デロイトトーマツグループでは継続的に次世代自動車(CASE)についての消費者意識調査を実施している。2019年の調査はインターネットを通じて2019年8月14〜15日に実施し、2075サンプル(男性79%、女性21%)を集めた。調査は大きく分けると、「CASE」の「E」である「電気自動車」と「A」である「自動運転」、そして「C」と「S」である「コネクテッド」と「モビリティサービス」の3つに分かれて行われた。本稿では、主に「電気自動車(EV)」についての意識調査結果を紹介する。
EVの認知度は70%前後、なぜか「知らない」層も増加
EVについての認知度について「とてもよく知っている」と「まあ知っている」の合計は70%となった。ここ数年は70%台で推移しているものの、普及が広がれば広がるほど「全く知らない」「あまり知らない」「どちらでもない」とした回答が増えるという状況も生まれている。実際に触れる機会が生まれ、知識レベルの差が広がってきている状況が伺える。
EVの購入意向は高まり4分の1が購入に前向きに
EVの購入検討意向を聞いた「あなたが自動車を購入する場合、EVの購入を検討しますか」の質問に対し「非常にあてはまる」と「あてはまる」という購入に前向きな回答が合計26%となり、4分の1を超えた。「全くあてはまらない」と「あてはまらない」という後ろ向きな回答合計が33%あるものの、徐々に減少しており、EVが実際に購入検討範囲に入ってきていることを伺わせた。
調査を担当したデロイトトーマツコンサルティング 自動車セクター アソシエイトディレクターの濱田悠氏は「購入意欲は着実に高まってきている」と語っている。
EVの購入検討要因では「感情的」な側面が増加傾向
EVの購入を検討した理由については「環境に優しそうだから」や「災害時に非常用電源にもなるから」「自宅で充電できるから」など、環境性能や機能面が調査開始時から上位を占める状況は変わっていない。しかし、調査開始当初は非常に少なかった「これまでにない製品を使用する高揚感を味わいたいから」「周囲にアピール・自慢したいから」「周囲の人が保有しているから」などの「感情的な側面」から、購入を検討する割合が増えており、ステータス的な価値も生まれてきているといえる。
濱田氏は「ここ最近で発売された製品にハイエンド製品が多く、これらによるステータスとして意欲が高い傾向に出たということはあるかもしれない」と述べる。
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