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データムを必要とする幾何公差【その1】〜姿勢公差の平行度〜:産機設計者が解説「公差計算・公差解析」(8)(2/4 ページ)
機械メーカーで機械設計者として長年従事し、現在は3D CAD運用や公差設計/解析を推進する筆者が公差計算や公差解析、幾何公差について解説する連載。第8回はデータムを必要とする幾何公差をテーマに、姿勢公差の平行度について取り上げる。
1−1−1.直線形体のデータム直線に対する平行度
(1)一方向の平行度
・公差域の定義(JIS原文、以下同様)
その方向に垂直でデータム直線(LD)に平行な幾何学的平行2平面でその直線形体(L)を挟んだときの2平面の間隔(f)で表す。
(2)互いに直角な2方向の平行度
・公差域の定義
その2方向にそれぞれ垂直で、データム直線(LD)に平行な2組の幾何学的平行2平面でその直線形体(L)を挟んだときの、2平面の間隔(f1、f2)すなわち、2組の平行2平面で区切られる直方体の2辺の長さで表す。
図4 互いに直角な2方向の平行度の場合における図面への記入例。Φ15[mm]の穴の軸線が、データム平面Bに直角で、Φ20[mm]の穴のデータム軸直線Aに平行な幅0.1[mm]、データム平面Bに平行な高さ0.1[mm]の直方体の領域に入っている必要があることを表している
(3)方向を定めない場合の平行度
・公差域の定義
データム直線(LD)に平行でその直線形体(L)を含む幾何学的円筒のうち、最も小さい径の円筒の直径(f)で表す。
補足説明:
図6の補足ですが、Φ20[mm]の穴には±0.10[mm]のサイズ公差が記入されています。このサイズ公差と平行度公差を同時に考えると混乱します。
しかし、「独立の原則」によって、指示している「サイズ公差」と「幾何公差」は、特別な指示がない限り、“それぞれ独立に指示されたもの”として扱うことになっているので、サイズ公差と実際の軸直線の位置は、別々にその設計意図を設定します。独立の原則については、「データムはどうやって決めるの? 3D CADで考えよう」でも説明しています。
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