バーベル調整負荷を低減、東京パラ競技にパワーアシストスーツが登場:ロボット開発ニュース
パナソニックは2019年9月26日、「世界パラ・パワーリフティング(WPPO)競技大会」にATOUN製のパワーアシストスーツを提供すると発表した。同製品は競技補助者が着用し、ウエイト交換などの作業負担を軽減する。
パナソニックは2019年9月26日、「世界パラ・パワーリフティング(WPPO)競技大会」にATOUN製のパワーアシストスーツを提供すると発表した。同製品は競技補助者が着用し、ウエイト交換などの作業負担を軽減する。また、東京2020パラリンピックでの採用も決定し、同社とWPPOはパートナーシップ契約を締結した。
パラ・パワーリフティングは、下肢に障がいのある選手によるベンチプレス競技。ベンチに横たわった選手は下半身を固定し、バーベルを胸の直上まで下した後にバーベルを上げる。このとき、バーベルは常に水平である必要があり、斜めに傾いた状態でバーベルを上げ切ったとしても成功記録とはならない。また、バーベルの動きが止まる、もしくは上げる動作途中でバーベルが下がった場合も失敗となる。3回の試技のうち、最も重量の重い成功記録が成績となる。
パワーリフティング大会では、バーベルシャフトへのプレート着脱作業が多く発生する。公式大会で利用されるプレート1枚の重量は10〜50kg。規模の大きい大会では1人の競技補助者がプレート着脱作業を100回以上行うため、補助者の腰部に高い負担がかかっていた。
パナソニックがWPPO競技大会に提供するパワーアシストスーツは、同社の社内ベンチャー制度から設立したATOUN製の腰部スーツ「ATOUN MODEL Y」。20台程度を提供し、競技補助者に加えて力作業を行う大会運営スタッフが着用する。
ATOUN MODEL Yは、備えられた電動アクチュエーターによって最大10kgfのアシスト力を発生し、作業負担の軽減や効率の向上を実現する。重量はバッテリーを含み4.5kgで、稼働時間は約4時間。腰部の角度を測るセンサーを搭載しており、荷物の持ち上げと持ち下げといった着用者の動作意図を判別し、最適なアシストを提供する。アシスト有無による、重量物持ち上げ動作時の腰部筋肉(腰方形筋)筋電位を比較すると、アシストありの場合に約40%の軽減が見られたという。
ATOUN社長の藤本弘道氏は、パワーアシストスーツの提供について「何よりも期待しているのは認知度が向上することだ」と語る。同社製品は製造業や物流分野などの企業で採用が進んでいるが、国際的に広く注目が集まる東京パラリンピックの場に露出することで、パワーアシストスーツ市場の拡大や海外展開の足掛かりを狙う。
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