「第4次産業革命により職を失う不安がある」と4割が回答:キャリアニュース
転職サイト「ミドルの転職」が「第4次産業革命」についてのアンケート調査結果を発表した。第4次産業革命を「知っている」のは全体の83%で、第4次産業革命によって職を失うことについて、40%が「不安がある」と回答した。
エン・ジャパンが運営する転職サイト「ミドルの転職」は、2019年8月30日、「第4次産業革命」についてのアンケート調査結果を発表した。
同調査は、ミドルの転職を利用する35歳以上のユーザーを対象とし、そのうち2294名から回答を得た。
第4次産業革命とは、IoT(モノのインターネット)やビッグデータ、AI(人工知能)などの革新技術がもたらす、産業の新たな段階を指す。
まず、「第4次産業革命を知っていますか」と尋ねたところ、「内容も含めて知っている」が25%、「概要を知っている」が58%で、合わせて83%が第4次産業革命を知っていた。
これを年収別に見ると、年収1000万円以上では、「内容も含めて知っている」39%と、「概要を知っている」53%を合わせて92%が「知っている」と回答。年収1000万円未満は、「内容も含めて知っている」が22%、「概要を知っている」が59%で、「知っている」割合は81%だった。
次に、第4次産業革命によって、働き方や雇用にどんな変化が起こると思うかを尋ねた。その結果、「働く時間と場所の柔軟化」(57%)が最も多かった。2位は「労働生産性の飛躍的な向上」(50%)、3位は「人材の流動化」(41%)だった。
この質問について、年収1000万円以上の回答で多かったのは、「働く時間と場所の柔軟化」で66%だった(年収1000万円未満は56%)。このほか、「労働生産性の飛躍的な向上」は59%(同48%)、「業種・企業の枠を超えた協業・連携の増加」は47%だった(同35%)。
第4次産業革命による失職への不安
第4次産業革命によって失職することへの不安については、全体の40%が「不安がある」と回答した。年収別に見ると、年収1000万円以上は31%、年収1000万円未満は42%が「不安がある」と回答している。
業種別では、「不安がある」が最も多かったのは、「金融」(52%)だった。次いで「物流・運輸」(51%)、「メディカル」(47%)となっている。
第4次産業革命によって、職を失うことについて「不安がある」と回答した人に、その理由を尋ねたところ、上位に「年齢的に未経験業種・職種への転職が難しいと思うから」(53%)、「ロボットに代替えできる可能性が高い職種だから」(32%)、 「自動化できる可能性が高い職種だから」(31%)が挙がった。
業種別に見ると、全体と15ポイント以上の差が見られたのは、「年齢的に未経験業種・職種への転職が難しいと思うから」で、全体53%に対し、コンサルティングは74%だった。また、「今持っている資格・経験の需要が減っていくと思うから」は全体が20%、コンサルティング39%。「同業の人員削減が既に進んでいるから」は、全体が20%、金融は37%だった。
反対に、「不安がない」と回答したユーザーにも理由を尋ねた。その結果、「判断が必要な仕事だから」(52%)が最も多かった。理由のうち、年収別に5ポイント以上差が出た項目は、「判断が必要な仕事だから」(年収1000万円以上59%、年収1000万円未満50%)、「経験がものをいう世界だから」(同26%、同31%)、「仕事を作る立場だから」(同42%、同23%)だった。
今後、働き続けていくために必要だと思うことは、「ヒューマンスキル(対人関係力)」(70%)が最も多かった。2位は「変化に対応できる柔軟な思考」(51%)、3位は「マネジメントスキル」(48%)だった。
回答のうち、年収別に10ポイント以上差が出た項目は、「マネジメントスキル」(年収1000万円以上57%、年収1000万円未満46%)、「コンセプチュアルスキル(論理思考力・問題解決力)」(同56%、同43%)、「語学力」(同38%、同26%)だった。
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