「第4次産業革命」の経済効果は132兆円、どうする日本の製造業?:情報通信白書2017を読み解く(後編)(1/4 ページ)
総務省が発行している「情報通信白書2017」から第4次産業革命に対する動きを読み解く本稿。後編では、第4次産業革命による経済的インパクトなどを紹介する。日本の製造業が第4次産業革命の世界的な流れの中で後れを取らないために必要なこととは何だろうか。
総務省は2017年7月に「平成29年『情報通信に関する現状報告』」(以下、情報通信白書2017)を公表した。本稿では、情報通信白書2017の第3章「第4次産業革命がもたらす変革」から、日本の製造業が第4次産業革命をどう捉えていくべきかを2回に分けて考察する。前編の「第4次産業革命に抵抗感? 調査で分かった日本の製造業の本音」では第4次産業革命の概要と日本企業の反応について取り上げたが、後編では第4次産業革命による経済的インパクトとそれにどう対応していくべきかについて解説する。
爆発的に増加するIoTデバイス
情報通信白書2017では、第4次産業革命の到来を象徴するともいえるIoT(モノのインターネット)デバイス数の推移や今後の予測を紹介している。
IHS Technologyの推定によれば、2016年時点でインターネットにつながるモノ(IoTデバイス)の数は173億個であり、2015年時点の154億個から12.8%の増加と拡大している。2016年を起点に2021年までに年平均成長率(CAGR)15.0%とさらに成長率が加速し、2020年は約300億と現状の数量の2倍に規模が拡大するという。
IoTを支える新たな通信技術
今後増加するIoTデバイスや関連アプリケーションは、さまざまな用途や通信特性を持つ。デバイス当たりの通信容量は小さいが大量接続をサポートすることが求められる産業用途などでは、低コストであることやセンサー機器に組み込み長期間使えるような低消費電力などの要件に対応する必要がある。こうした要件に特化して現在開発や提供が進んでいるのが「LPWA(Low Power Wide Area)」ネットワークだ。
LPWAの通信速度は、数kbpsから数百kbps程度と携帯電話システムと比較して低速である。その一方で、一般的な電池で数年から数十年にわたって運用可能な省電力性、数kmから数十kmもの通信が可能な広域性を持っている。既にフランスなどではSigfox(※1)により全土にLPWAのネットワークが構築され、米国などでもLoRa規格(※2)によるLPWAの導入が始まっている。
(※1)関連記事:いまさら聞けないSIGFOXネットワーク入門
(※2)関連記事:いまさら聞けないLoRaWAN入門
LPWAに対応した機器の台数は、今後急速に拡大する見込みだ。2021年には3.8億台に達し、またLPWAを使った接続の売上高は約10億ドルと、いずれも現在の10倍以上の規模になると見込まれている。
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