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工作機械の共通インタフェース「umati」とは何か?いまさら聞けないumati入門(1)(3/5 ページ)

工作機械のスマート化に向けて注目されている通信規格が「umati」である。本連載では「umati」とはどういう規格なのか、技術的にはどういう背景があるのか、どのような活用シーンがあるのかについて、紹介する。第1回となる今回は「umati」とは何かをテーマに概要を取り上げる。

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umatiに対応するためには何が必要か?

 それでは、工作機械がumatiで接続するためには具体的にどのような準備が必要なのだろうか。その詳細を解説する(図5)。

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図5 工作機械をumatiに対応させるために必要な構成(出典:VDW掲載図を基に筆者が加筆、https://vdw.de/en/technology-and-standardisation/umati-universal-machine-tool-interface/)(クリックで拡大)

 そもそも工作機械は制御装置や付属のソフトウェアにより、作業者が機械を操作したりプログラムに基づき部品を加工したりすることが可能となっている。その制御装置やソフトウェアが持っている機械の運転状態、軸や系統のステータス、加工中のプログラム名といった機械の稼働情報が、図5の一番下の「Data sources(1)」に当たるものだ。

 ここに接続して制御装置と機械の稼働情報を入手するのがその上の「Data clients(2)」の機能であり、制御装置に接続するための専用プロトコルを実装してアクセスし、稼働情報を取得していることがほとんどだ。ただし、ここで取得された稼働情報のデータフォーマットは制御装置や機械に依存したデータ形式であるため、これをumatiのデータフォーマットに変換する必要がある。その役割を担うのが「Transformation engine(3)」である。

 このようにして準備されたデータはOPC-UA(※)という通信規格を用いて外部へデータ送信を行う必要があるため「OPC UA server(4)」の機能も必須だ。umatiがOPC UAを採用したのは、データを構造化して定義ができること、構造化したデータを汎用的なイーサネット(TCP/IP)で送受信できること、セキュリティを考慮した通信も可能であることなどの理由がある。

(※)関連記事:「OPC UA」とは何か

 その特徴を生かし「umati規格に沿って構成したデータに、機械固有の専用データも付加してOPC-UAで送信する」ということも容易に行えるようになる。これまでに紹介した「Data clients」「Transformation engine」「OPC UA server」の3つを合わせて、ここでは「umatiゲートウェイ(umati Gateway)」と呼ぶことにしたい。このumatiゲートウェイこそが、工作機械がumatiによる接続を実現するために用意すべき機能だといえるだろう。

 ネットワークを介してumatiゲートウェイと接続するシステムやソフトウェアアプリケーションに必要な機能が「OPC UA client(5)」である。以上の構成により上位のソフトウェア側から見ると、接続先がどの機械メーカーのどの機種であっても、umatiに対応した機械であればOPC-UA clientから同様にアクセスし、同様のumatiデータフォーマットの稼働情報を取得することが可能となるのである。

工作機械への「umatiゲートウェイ」の設置例

 これまでに紹介してきたumatiゲートウェイを、実際の機械構成に当てはめて見てみよう(図6)。

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図6 工作機械へのumatiゲートウェイの設置例(出典:筆者作成)(クリックで拡大)

 最も分かりやすい実現例が「ケース(1)」である。工作機械そのものの中にumatiゲートウェイの機能を持たせることによって、機械を工場内のネットワークに接続するだけで社内の生産管理システムに機械の稼働情報を送信することが可能となる。

 工作機械の本体にumatiゲートウェイを搭載させるのが難しい場合や、既設の工作機械をumatiに対応させたい場合が「ケース(2)」である。umatiゲートウェイを独立した1つの装置として用意し、この装置が工作機械からデータを取得して上位のシステムに送信するという設置例だ。

 「ケース(2)」をさらに拡張して、複数の工作機械からumatiゲートウェイが稼働情報を集約して上位のシステムに送るようにしたのが「ケース(3)」である。このように工作機械のumatiへの対応はさまざまな設置例が可能となっており、これから多くの工作機械メーカーやデバイスメーカーが多様な製品を提供し始めるだろうと予想されている。

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