高速道路で自動運転車がスムーズに合流、OKIがシミュレーション技術を開発:自動運転技術
OKIは2019年9月4日、V2I(路車間通信)向けシステムの設置条件や運用効果を検討するシミュレーション技術を開発したと発表した。
OKIは2019年9月4日、V2I(路車間通信)向けシステムの設置条件や運用効果を検討するシミュレーション技術を開発したと発表した。シミュレーションには、自動運転車や人間が運転する車両の制御モデル、道路の制限速度、V2Iのための路側機、路側センサーの設置条件を取り入れた。これにより、自動運転車が高速道路の合流地点でスムーズに合流できるようにする道路インフラシステムの実用化を支援する。
自動運転車は、車両にさまざまな検知方式のセンサーを搭載して周辺環境を認識する。しかし、高速道路の合流地点などでは、車両のセンサーだけで本線を走行する車両の位置や速度を事前に把握するのが難しく、合流車線に入ってから速度を調整してタイミングを図らなければならない。こうした場面で円滑な合流を実現する上で、本線を走行する車両の位置や速度などの情報を提供する道路インフラシステムの重要性が高まっており、その設置条件の検討や効果測定、運用の検証が課題となっていた。
OKIは内閣府の総合科学技術・イノベーション会議が推進する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第1期/自動走行システム」の一環で、開発したシミュレーション技術を用いて、周辺車両による電波の遮蔽(しゃへい)やマルチパスなど実環境で想定される影響を考慮し、車両挙動の安定化や交通流の円滑化を支援する通信のメッセージセットとプロトコルを検討し、効果を評価した。さらに、その成果をもとに、高速道路の合流のモデルケースにおいて車両の挙動の安定化検証をさらに拡張し、本線車両を検知する路側センサーや、自動運転車に情報を配信するV2I装置の設置条件の検討、自動運転車の挙動の把握や合流地点の交通流の変化の推測など、円滑な走行に効果が期待できる運用条件の分析も行った。
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