「V2Xは4Gセルラー技術で始めるべき」と5G推進団体が語る理由:自動運転技術(1/2 ページ)
ノキアソリューションズ&ネットワークスは、コネクテッドカー分野の取り組みとして、同社が創設から関わる5Gオートモーティブアソシエーション(5GAA)について紹介。セルラーV2X技術の優位性を訴えた。
ノキアソリューションズ&ネットワークスは2017年5月23日、コネクテッドカー分野の取り組みとして、同社が創設から関わる5Gオートモーティブアソシエーション(5GAA)について紹介。フィンランド ノキアでイノベーションを統括する新組織「Nokia Innovation Steering」で自動車向けのイノベーション統括責任者であるティエリー・クライン(Thierry E Klein)氏がビデオ会議で参加し、自動車向け通信技術として、セルラーV2X技術の優位性を訴えた。
V2Xとは
「V2X」とは、自動車(Vehicle)と何か(X)をつなぐ通信の仕組みのことである。主に自動車同士を接続する「V2V(Vehicle to Vehicle)」、自動車と信号機などのインフラを接続する「V2I(Vehicle to Infrastructure)」、自動車と交通弱者を結び安全性を確保する「V2P(Vehicle to Pedestrian)」、自動車とネットワークを結ぶ「V2N(Vehicle to Network)」の4つの領域があるといわれている。V2Xでは特にV2Vが注目されているが、実際にはV2Vの市場はごく一部で、その他の領域の潜在市場が大きい。
5GAAとは
5GAAは、通信業界と自動車業界が共同で自動車用の通信技術の開発や取りまとめを行うために、ドイツの自動車メーカー3社と通信および半導体企業5社で2016年9月に設立した組織である。設立メンバーはドイツのBMW、AUDI、Daimlerの自動車メーカーの他、フィンランドのノキア、スウェーデンのエリクソン、中国のファーウェイなどの通信企業、米国の半導体企業であるIntel、Qualcommである。クライン氏はこの5GAAで副会長の役割を担っている。
5GAAの狙いについてクライン氏は「デジタル化やコネクテッド化で自動車を取り巻く環境は大きく変化している。その中で『V2X』などを実現するためには通信業界にとっても自動車産業の要望を正しく理解し事例を積み上げていくことが必要となる。一方で自動車産業にとっても、先進の通信技術を正しく理解し、自動車産業にとって適切な通信技術の開発を働きかけたいというニーズがあった。そこでこれらの両業界をつなぐ役割として5GAAが設立された」と述べている。
5GAAでは最適なV2X技術を普及させるために、開発やテスト、プロモーションなどを推進。標準化活動などにも取り組む。同時にユースケースなどの創出にも取り組み、より実用的な技術の確立を目指している。
設立からわずか半年が経過したばかりだが、既に参加メンバーは8社から47社にまで拡大。日本からも、デンソーやパナソニック、NTTドコモ、ソフトバンクなどが参加しているという。NTTドコモはボードメンバーとしても選任されているという。全体としては、欧州の企業が半分、北米の企業が4分の1、アジアの企業が4分の1を占めている。
ただ、現状では日本の自動車メーカーからの参加はない。クライン氏は「5GAAは基本的にはオープンな組織なのでぜひ日本の自動車メーカーにも参加してほしいと考えている。日本の自動車メーカーの中では他の技術を積極的に採用するような動きも出ているが、継続的に対話を進めて価値を伝えていきたい」と考えを述べている。
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