連載
中小製造業で次世代経営者が抱える問題と「継ぎたくない理由」:2019年版中小企業白書を読み解く(4)(5/8 ページ)
中小企業の現状を示す「2019年版中小企業白書」が公開された。本連載では、中小製造業に求められる労働生産性向上をテーマとし、中小製造業の人手不足や世代交代などの現状、デジタル化やグローバル化などの外的状況などを踏まえて、4回に分けて紹介している。第4回は、中小企業における世代交代の実態を主に「次世代の経営者」の状況を中心にお伝えする。
経営者参入に至るまでの過程整理
それでは、経営者参入を希望する者が実際に参入に至るまでには、どのようなことが課題となるのだろうか。中小企業白書2019では、経営者参入に関する課題を明らかにするために、まず経営者参入に至るまでの過程について以下のように整理している(図12、図13)。
用語の定義
現在経営者である者
- 起業家:起業により経営者になった者で、特に起業から10年超経過していない者
- 後継経営者:事業承継により経営者になった者
現在経営者でない者で、身近に継げる事業があり、その事業を継ぐ意思がわずかでもある者
- 後継決定者:事業を継ぐことについて現経営者と合意がとれている者
- 積極的後継者候補:事業を継ぎたいと考えているがまだ合意はとれていない者
- 消極的後継者候補:前向きではないが事業を継ぐかもしれないと考えている者
事業を継ぐ意思が全くない者(後継無関心者)および、そもそも身近に継げる事業がない者
- 起業準備者:起業に向けて準備をしている者
- 起業希望者:起業する可能性のある者
- 起業無関心者:起業に関心のない者
中小企業白書2019では「中小企業・小規模事業者における経営者の参入に関する調査」(以下、経営者参入調査)を基に、起業準備者、起業希望者、後継決定者、積極的後継者候補、消極的後継者候補に着目しているが、本稿では特に後継決定者・積極的後継者候補・消極的後継者候補について、事業承継に至るまでの実態と課題などについて取り上げたい。
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