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中小製造業で次世代経営者が抱える問題と「継ぎたくない理由」:2019年版中小企業白書を読み解く(4)(4/8 ページ)
中小企業の現状を示す「2019年版中小企業白書」が公開された。本連載では、中小製造業に求められる労働生産性向上をテーマとし、中小製造業の人手不足や世代交代などの現状、デジタル化やグローバル化などの外的状況などを踏まえて、4回に分けて紹介している。第4回は、中小企業における世代交代の実態を主に「次世代の経営者」の状況を中心にお伝えする。
後継経営者は女性では小売業、不動産業、生活サービス業で多い
それでは、これら後継経営者の事業承継分野において性別や年齢による差はあるのだろうか。図8は、2017年の後継経営者の事業承継分野について、男女別、年齢別に見たものだが、これによると男性では相対的に農林漁業、建設業、製造業、情報通信業、その他サービス業での事業承継が多いのに対し、女性では小売業、不動産業、生活関連サービス業での事業承継が多いことが分かる。
また、女性の事業承継分野を起業分野と比較すると、事業承継では建設業や製造業も相応にいることが分かる(図9)。年齢別では、60〜69歳では農林漁業、50〜59歳では製造業、40〜49歳では建設業、26〜39歳では情報通信業や小売業が比較的多い。
26〜39歳での後継希望率は高い水準で推移
次に後継希望者数の経年変化を男女別に見てみると、男性は減少傾向にあるのに対し、女性はほぼ横ばいで推移していることが分かる(図10)。
加えて、年齢別の後継希望率の推移を見ると、25歳以下では減少しているものの、26〜39歳での後継希望率は、比較的高い水準で推移している(図11)。
以上の結果から、経営の担い手全体でみれば起業家、後継経営者ともに減少傾向にあるものの、年代別で見ると26〜49歳の割合が増加していることが分かる。
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