新車ユーザーに不具合経験を調査、品質トップはダイハツ、ワーストはVW:安全システム
J.D.パワー ジャパンは2019年8月21日、2019年日本自動車初期品質調査の結果を発表した。この調査では新車購入後2〜9カ月のユーザー2万1728人を対象に8分野233項目について不具合の経験を聴取し、100台当たりの「不具合指摘件数」(PP100)を算出。今回で9回目の調査となる。その結果、不具合指摘件数が最も少ない自動車メーカーは2年連続でダイハツ工業となった。
J.D.パワー ジャパンは2019年8月21日、2019年日本自動車初期品質調査の結果を発表した。
この調査では新車購入後2〜9カ月のユーザー2万1728人を対象に8分野233項目について不具合の経験を聴取し、100台当たりの「不具合指摘件数」(PP100)を算出。今回で9回目の調査となる。その結果、不具合指摘件数が最も少ない自動車メーカーは2年連続でダイハツ工業となった。
調査を行った8分野は「外装」「走行性能」「装備品/コントロール/ディスプレイ」「オーディオ/コミュニケーション/エンターテインメント/ナビゲーション」「シート」「空調」「内装」「エンジン/トランスミッション」。今回の調査の平均不具合指摘件数は66PP100(100台中66件)で、前年の67PP100と同水準だった。分野別でも大きな変化は見られなかったとしている。
自動車メーカーごとに分析すると、対象となった15ブランドのうち6ブランドが改善した一方、8ブランドでは不具合指摘件数が増加した。平均の66PP100よりも初期品質が良好だったのは、ダイハツ工業の他、LEXUSブランド、トヨタ自動車、ホンダの4ブランド。初期品質が最も悪いと評価されたのはVolkswagenで、115PP100だった。
車両のセグメント別にみると、ミッドサイズセグメントでは前年の79PP100から75PP100に改善。使いづらさや分かりにくさといった設計品質の不具合が微減したという。モデル別にみるとダイハツ工業の「キャスト」「ミラ トコット」が32PP100で最も不具合指摘件数が少なかった。J.D.パワー ジャパンの調査で過去最も不具合指摘件数が少ないという。軽自動車セグメントではダイハツ工業の2モデルが初期品質でトップだったが、コンパクトセグメントではトヨタ自動車「アクア」、ミッドサイズセグメントでは日産自動車の「リーフ」、ミニバンセグメントではホンダ「ステップワゴン」がそれぞれトップになった。
価格が高くても最新の安全装備がほしい
調査では、先進運転支援システム(ADAS)の装着率についても調べた。「衝突回避/警告システム」「車線逸脱警告システム(レーンキープアシスト)」「パーキングアシストシステム(警告音/視覚センサー、カメラなど)」「死角モニタリング/警告システム」は装着率が継続的に高まっている。
この4つの機能で装着率が最も高いのは「衝突回避/警告システム」で、77.5%に達した。「車線逸脱警告システム(レーンキープアシスト)」は、2017年の装着率が48.5%だったが、今回の調査では21.4ポイント増の69.9%に普及が進んだ。「パーキングアシストシステム(警告音/視覚センサー、カメラなど)」は2017年比14.5ポイント増の65.0%、「死角モニタリング/警告システム」は同13.6ポイント増の47.9%で、いずれも装着率が高まっている。
「価格が高くても最新の安全装備のあるクルマを購入したい」というユーザーも増えており、2017年の調査から4.3ポイント増の69.3%に達した。安全装備があるクルマは、そうでないクルマよりもユーザーからの品質や信頼性の評価が高かったが、安全装備に対して不具合を経験すると、評価が大きく下がる。例えば「衝突回避/警告システム」では搭載車種の平均評価は10段階中7.75で、非搭載車種は7.17だった。「衝突回避/警告システム」の搭載車種で操作性の不具合を経験した場合は、10段階の平均評価が6.54まで低下した。
操作性の不具合を経験したユーザーに同じメーカーから再購入する意向の有無を尋ねると、再購入するという回答は75.4%で、業界平均の81.0%よりも低くなった。J.D. パワー オートモーティブ部門シニアディレクターの川橋敦氏は、「顧客視点でユーザビリティを改善させることが、ユーザーの装備に対する信頼感を高め、商品性向上につながるといえる」とコメントした。
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