エッジAIの「iモード」目指すベンチャーが始動、NTTドコモや清水建設などが出資:人工知能ニュース(2/2 ページ)
エッジAI関連事業を手掛けるベンチャー・EDGEMATRIXが事業戦略について説明した。米国クラウディアンの日本法人メンバーが中心になって2019年7月にスピンアウトした後、NTTドコモ、清水建設、日本郵政キャピタルの3社から9億円の資金を調達しており、エッジAI事業の本格展開を始める。
エッジAIプラットフォームをNTTドコモと共同開発
そして3つ目は、エッジAIデバイス事業やエッジAIソリューション事業とも連動することになる「エッジAIプラットフォーム事業」だ。マーケットプレースにさまざまなエッジAIアプリケーションをそろえるとともに、エッジAIデバイスの管理も容易に行えるようにしたエッジAIプラットフォームを、出資企業であるNTTドコモと共同で開発している。「現時点で利用されているAIアプリケーションは、せっかく高機能であるにもかかわらず一品物になっており他の用途で活用できていない。開発中のエッジAIプラットフォームは、実際には汎用性が高くスケールするであろうAIアプリケーションを、さまざまな用途で活用してもらうための基盤になる。ユーザー、AIアプリケーションパートナー、プラットフォームを提供するわれわれの3者がWIN-WIN-WINとなる。AI版の『iモード』だ」(太田氏)という。
NTTドコモと清水建設の事業トップも会見に出席
事業トップが会見に出席したNTTドコモと清水建設は、EDGEMATRIXがクラウディアン日本法人のAI事業の時代から関係を深めてきた。
NTTドコモ 執行役員 IoTビジネス部長の谷直樹氏は「1年前に共同実証を行い、映像関連のエッジAIに対する強いニーズがあることを確かめた上で、出資を行い、プラットフォームも共同開発することになった。AIをより身近で使いやすいものにして、広く流通させるエコシステムになると確信している」と語る。
清水建設 執行役員 エンジニアリング事業本部長の関口猛氏は「2年前に工場や物流施設のプロジェクトで、安全安心や生産性向上、省人化のニーズを満たすために協力してもらった。当社も建物を建てるだけではなく、顧客がより多くの価値を感じ、その進化に貢献できる技術を提供していきたいと考えている。現在、共同開発しているIoT・AIプラットフォームはそのためのものだ」と述べている。
清水建設が展示したAIアプリケーションのイメージ。物流倉庫施設向けの早期火災検知システムで、既に実用化されている。この他にも、エッジAIプラットフォームのパートナー候補となる企業がさまざまなAIアプリケーションを展示していた(クリックで拡大)
なお、EDGEMATRIXは、米国クラウディアンからスピンアウトして独立企業となったが、クラウディアンとの資本関係は残っており連結対象になっているという。
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