いまさら聞けない電子回路入門 〜アナログとデジタルの違い〜:ママさん設計者が教える「メカ設計者のための電子回路超入門」(2)(3/3 ページ)
電気やプリント基板の設計と、メカ設計がシームレスに連携する“エレメカ連携(エレメカ協調設計)”をテーマに、ママさん設計者が優しく教える連載。第2回は、直列回路と並列回路の違い、キルヒホッフの法則、そしてデジタル回路とアナログ回路の役割について取り上げます。
電子回路設計ツール「Fritzing」
さて、そろそろ回路設計者の気持ちが少し分かってきたでしょうか? ここで、ブレッドボードに部品を差し込むイメージで回路が作れる、ユニークな電子回路設計ツール「Fritzing」を紹介します。
Fritzingはオープンソースのツールで、ブレッドボードを持っていなくても視覚的に回路を組むことができる上に、そこから回路図、基板配線図が自動的に展開され、基板製作に必要なガーバーデータ(今はRS-274Xのみ)の出力までできるスグレモノです。
操作はとても直感的で、[ブレッドボード]のタブを選択して、配置したいパーツを右上のパーツリストから選択して、ブレッドボード上にドラッグ&ドロップします。仮想的にブレッドボードに部品を挿すイメージです。
部品を挿し終わったら[回路図]のタブに移動して、[自動配線]を実行すると回路図ができます。そして、そのまま[プリント基板]タブに移動すると、回路図通りの配線パターン図ができている……といった具合です。
「Arduino」や「Raspberry Pi」といった基板やモジュールもパーツとして備えているので、Fritzingの中ではさまざまな拡張を試すことができます。
Fritzingのようなツールを使うことで、回路設計という作業のハードルが随分と低くなります。しかし、実際の電子回路はそう楽なものではなく、例えば、特定の部品の配置を換えるだけで接続パスが変わり、回路自体の特性が変化してしまうこともあります。ですから、エレメカ連携を進める上での“メカ設計者の心得”として、「回路設計者は、使用する部品のデータシートに基づいて、性質を把握した上で配線図を描いている」という認識が大切です。もし、設計しようとする筐体と基板の部品レイアウトがどうしても合わないという問題が起きたとしても、電子回路の知識がないまま独断で部品を移動したり、配線パターンを変更したりしてはいけません。トラブルのないスムーズな連携を実現するためには、設計情報だけではなく、お互いの意識にも配慮するよう努めましょう。
次回は、基板CADと3D CADを使った簡単なエレメカ連携の実践を紹介します。お楽しみに! (次回に続く)
Profile
藤崎淳子(ふじさきじゅんこ)
長野県上伊那郡在住の設計者。工作機械販売商社、樹脂材料・加工品商社、プレス金型メーカー、基板実装メーカーなどの勤務経験を経てモノづくりの知識を深める。紆余(うよ)曲折の末、2006年にMaterial工房・テクノフレキスを開業。従業員は自分だけの“一人ファブレス”を看板に、打ち合せ、設計、加工手配、組み立て、納品を一人でこなす。数ある加工手段の中で、特にフライス盤とマシニングセンタ加工の世界にドラマを感じており、もっと多くの人へ切削加工の魅力を伝えたいと考えている。
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