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エレメカ協調設計に備えよ! メカ設計者が知っておくべき電気/電子の基礎知識ママさん設計者が教える「メカ設計者のための電子回路超入門」(1)(1/2 ページ)

電気やプリント基板の設計と、メカ設計がシームレスに連携する“エレメカ連携(エレメカ協調設計)”をテーマに、ママさん設計者が優しく教える連載。第1回は、メカ設計者が知っておくべき電気/電子の基礎知識を取り上げます。

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加速する“エレメカ協調設計”の流れ

 皆さんこんにちは! Material工房・テクノフレキスの藤崎です。

 私たちの身の回りには、電子回路が搭載された家電製品や情報機器(電気/電子機器)であふれています。テレビ、オーディオ、炊飯器、洗濯機、PC、スマートフォン、タブレット端末など……、日々の生活の中でこうした機器に触れない日はないくらい“身近なもの”として私たちの暮らしに浸透しています。

 実は、筆者は電気屋の家で生まれ育ったため、幼いころからこうした機器に囲まれて生活してきました。廃棄する家電製品を遊び半分で分解するのが大好きで、バラバラにして仕組みを確認した後、元に戻そうとするのですが、うまく組み立てられなかった……何てこともよくありました。父親自身も廃棄パーツなどを使ってユニークなモノづくりをしては、私たちを楽しませてくれました。振り返ってみると、常にモノづくりの魅力に触れられる、非常にぜいたくな環境がすぐそばにありました。

筆者の父親が製作した廃棄する電子レンジのファンを使った卓上扇風機
筆者の父親が製作した廃棄する電子レンジのファンを使った卓上扇風機

 そのような生活環境であったが故に、筆者はいつしか「電気/電子」と「メカ」は常に“ワンセット”で考えるようになっていました。

 ただ、目で見たり手で触れたりできるメカとは違って、電気/電子はそうしたことができないため、理解しにくいものです。多くの人が「回路」や「オームの法則」といった単語を耳にしたとたんに、「もう結構です!」という気分になるのはすごくよく分かります。

 ですが、冒頭に述べた通り、日々の暮らしの中で電気/電子機器に触れない日はありません。言い換えれば、こうした機器が必要不可欠な時代であるといえます。また、モノづくりにおいても軽量化や小型化を図る際、単にメカ的な機構を見直すだけではなく、センサーなどを活用した電子化によって目的を達成しようとする動きも目立っています。製造業従事者としては、こうした変化に敏感であるべきです。

 そんな中、筆者は電気やプリント基板の設計と、メカ設計がシームレスに連携する“エレメカ連携(エレメカ協調設計)”をテーマに掲げており、幾つか記事を執筆してきました。以下に挙げる2018年公開の記事では、「いよいよ本格的なエレメカ協調設計の時代がやってきますよ」というメッセージを発信しています。よろしければ本稿と併せてご覧ください。

 メカ設計と電気/電子の回路設計とでは“世界観”が少し違います。メカ設計者が、実体の挙動や耐久性などを検討対象とするのに対して、電気/電子回路設計者は、設計した回路が正しく動くかどうかを電気的特性、周波数特性などの観点で検討します。つまり、同じ“動く”という言葉でも、メカ設計の場合は力学的に思考し、電気/電子回路設計の場合は電気/電子工学的に思考するという違いがあります。

 製品開発の多くは“メカ設計優位”に事が進められ、世界観の異なるこの2つの設計を統合するのは、開発プロセスの最後の方になります。それ故、その段階になって初めて、考え方や捉え方の相違による問題が浮上することも少なくありません。

 こうしたこともあり、最近になって、3Dメカ設計推進に併せて回路設計系3D CADも登場し始め、メカ設計者と電気/電子回路設計者の双方向アプローチによる“エレメカ協調設計”が進められているのです。そして、この流れは今後も加速していきます。そのため、メカ設計者であっても、電気/電子回路についてある程度の基本は押さえておかなければなりません。

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