ニュース
相対速度時速100kmでの無人航空機の自律的な衝突回避に成功:ドローン
新エネルギー・産業技術総合開発機構らは、福島県南相馬市の広域飛行空域で、相対速度100km/hでの中型無人航空機の自律的な衝突回避試験を実施した。中型の無人航空機が有人ヘリコプターを探知し、自律的に衝突を回避した。
新エネルギー・産業技術総合開発機構は2019年7月25日、福島県、南相馬市、福島イノベーション・コースト構想推進機構の協力のもと、相対速度時速100kmでの中型無人航空機の自律的な衝突回避試験を実施したと発表した。SUBARU、日本無線、日本アビオニクス、三菱電機、自律制御システム研究所との共同試験となる。
今回の衝突回避試験は、福島県南相馬市の広域飛行空域で、同月24〜25日に実施。有人ヘリコプターが接近する際、無人航空機に搭載した衝突回避システムが設計通りに機能し、自律的に衝突を回避できるかを確認した。
その結果、時速40kmで飛行する中型の無人航空機が、時速60km程度で正面から飛行してくる有人ヘリコプターを探知し、自律的に衝突を回避した。無人航空機は、各種センサーからの探知・識別データにより生成した、衝突を回避する経路に沿って飛行。有人ヘリコプターの回避後は、元の飛行経路に復帰した。
これらの成果を踏まえ、2019年度下期には、離島を模した環境での自律的な衝突回避試験を予定している。今後、衝突回避システムを確立することで、災害対応や物流などの分野で、無人航空機の実用化を進める。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 時速100kmのドローンが衝突回避、1km四方で100機飛ばす管制システムの検証も
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と福島県南相馬市は2019年4月10日、東京都内で会見を開き、ロボット関連人材の育成などに関する協力協定を締結したと発表した。具体的な協力として、2019年度はさまざまな企業が参加して1km2のエリアで100機のドローンを飛ばす他、南相馬市ー浪江町間の13kmで長距離飛行試験を予定している。 - ドローン同士の直接通信と自動飛行制御システムでニアミス回避に成功
情報通信研究機構は、ドローン同士の直接通信により、ニアミスを自動的に回避する実験に成功した。位置情報を共有するシステムとドローンのフライトコンピュータを連携させることで、ドローンが自動飛行制御する。 - ドローンが300℃の火の中を飛ぶ、チタンとマグネシウム、ジルコニア塗装で
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とドローンメーカーのエンルートは2019年3月6日、東京都内で記者会見を開き、火災現場への進入と火元での近距離空撮が可能な耐火型ドローンを開発したと発表した。2019年10月から受注を開始し、2020年春から納入する。価格は現時点では非公表。目標販売台数は500台。 - ドローンの遠隔識別技術などの研究開発を開始
新エネルギー・産業技術総合開発機構は、ドローンなどの無人航空機を活用したビジネスモデルの普及に向けて、無人航空機の遠隔識別技術などの研究開発を開始した。 - スーパーから無人島へ商品を届ける、ドローン配送サービスを発表
楽天と西友は、離島の観光客にドローンで商品を届ける配送サービスを実施する。利用者がスマートフォンで注文・決済した商品を、横須賀市内の西友店舗から無人島「猿島」まで専用ドローンが配送する。 - 同一空域での複数事業者のドローン運航管理システムを実証
新エネルギー・産業技術総合開発機構は、同一空域で複数事業者のドローンが安全に飛行するための運航管理システムの実証試験を実施。「運航管理統合機能」「運航管理機能」「情報提供機能」で構成されるシステムが正常に作動することを確認した。