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中小製造業における経営者の引退で生まれる問題2019年版中小企業白書を読み解く(3)(6/7 ページ)

中小企業の現状を示す「2019年版中小企業白書」が公開された。本連載では、中小製造業に求められる労働生産性向上をテーマとし、中小製造業の人手不足や世代交代などの現状、デジタル化やグローバル化などの外的状況などを踏まえて、4回に分けて紹介している。第3回は、中小企業における世代交代の実態について紹介する。

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経営者引退前の企業状況

 まず、経営者を引退することを決断した時点での、売上高や利益の傾向、資産状況について比較したい。図19は経営者引退決断前3年間の売上高の傾向を示したものだ。事業承継を選択した企業では増加又は横ばいと回答した経営者の割合が4分の3を超える一方、廃業した経営者の7割以上が、売上高が減少傾向にある中で、経営者引退を決断している。

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図19:経営者引退決断前年間の売上高の傾向(クリックで拡大)出典:中小企業白書2019

 経営者が引退を決断した時の営業利益の傾向について示したものが図20である。事業承継した経営者は、約3分の2が2期以上連続黒字の状況で経営者引退を決断している。一方、廃業した経営者は、約半数が2期以上連続赤字となった末に経営者引退を決断している。さらに、約半数は、直近2年間のうち少なくとも1年が黒字であったにもかかわらず経営者引退を決断していることが分かる。

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図20:経営者引退決断時の営業利益の傾向(クリックで拡大)出典:中小企業白書2019

 さらに、経営者引退決断時の事業資産と負債の状況について見ると、廃業した経営者の約3割が負債超過の状況で、経営者引退を決断している(図21)。

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図21:経営者引退決断時の事業資産と負債の状況(クリックで拡大)出典:中小企業白書2019

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