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中小製造業における経営者の引退で生まれる問題2019年版中小企業白書を読み解く(3)(4/7 ページ)

中小企業の現状を示す「2019年版中小企業白書」が公開された。本連載では、中小製造業に求められる労働生産性向上をテーマとし、中小製造業の人手不足や世代交代などの現状、デジタル化やグローバル化などの外的状況などを踏まえて、4回に分けて紹介している。第3回は、中小企業における世代交代の実態について紹介する。

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新経営者の年代による承継後業績の変化

 新経営者を年代別に見ると、30代以下への事業承継では承継の翌年から成長率を押し上げる効果が明確に観察されている。ほぼ効果が確認できない40代、50代への事業承継とは対照的な結果となっている(図11)。

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図11:事業承継が総資産に与える効果(クリックで拡大)出典:中小企業白書2019

 最後に、従業員数成長率への影響を比較したい。2009年度と2010年度に事業承継した企業について、事業承継していない企業と比較して従業員数成長率が有意に上回るケースはなかった。しかし、2011年度に事業承継した企業については、事業承継から4年後以降、事業承継していない企業を上回る従業員成長率を記録している(図12)。

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図12:事業承継が従業員数に与える効果(クリックで拡大)出典:中小企業白書2019

 また、新経営者の年代別効果を見ても、30代以下、40代への事業承継では、従業者数の成長率が事業承継していない企業を有意に上回っており、事業承継が従業員数の成長率を押し上げる一定の効果が見られた(図13)。

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図13:後継者の年齢別、事業承継が従業員数に与える効果(クリックで拡大)出典:中小企業白書2019

 以上の結果より、事業承継は企業の売上高や総資産を押し上げる効果があり、従業員数を押し上げる場合もあることが確認できた。また、30代以下、40代の経営者に事業承継を行う方が、50代への事業承継と比較して売上高などを押し上げる効果をもたらすことも分かった。これまでの通説として「事業承継により業績が改善する」「事業を引き継ぐ経営者の年齢が若いほど業績が改善する」といったものがあったが、いずれもおおむね正しいといえることが明らかになった。

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