ローカル5Gは世界に比べて日本が先行? 2019年11月には免許交付へ:モノづくり最前線レポート(2/2 ページ)
「第2回5G/IoT通信展」の基調講演に総務省 総合通信基盤局 局長の谷脇康彦氏が登壇。「データ主導社会の実現に向けて〜電気通信事業分野における競争ルールなどの包括的検証〜」と題して、電気通信事業分野における競争政策や5Gなど次世代通信サービスについて説明した。
ローカル5Gは世界と比べて日本が先行
5Gの活用について、総務省では2017年からユースケースをイメージした総合実証試験を行い、用途を探ってきた。2018年秋には地方発の案件発掘を目指して「5G利活用アイデアコンテスト」を全国で開催。800件の応募があったという。「これらの多くを2019年の実証試験のテーマに盛り込んでいる」(谷脇氏)。内容的には高精細・高臨場感の映像コンテンツ、遠隔医療、遠隔操作などで、今後はさらに用途が広がることが期待されている。
現在は通信キャリアが提供する全国5Gとは別に、ローカル5Gについても制度の検討を進めている。ローカル5Gは地域や産業の個別ニーズに応じて、地域の企業や自治体などが主体となって柔軟に構築できる5Gシステムだ。
通信事業者によるエリア展開がすぐに進まない地域でも独自に5Gシステムを構築・利用することが可能となる。通信事業者のサービスと比較して、他の場所の通信障害や災害、ネットワークの輻輳(ふくそう)などの影響を受けにくいという利点もある。ローカル5Gは4.6〜4.8GHzおよび28.2〜29.1GHzの周波数を利用することを想定しているが、その中でも、他の帯域に比べて検討事項が少ないと思われる28.2〜28.3GHzの100MHz幅については、2019年秋頃に制度化を行う予定で、2019年11月には実際に免許を出すことを計画している。
まずは、工場内の同一構内などから進め、条件を緩和していく。また「4.5GHz帯は、共用条件など詰めた後、2020年の夏から秋には免許が出せるように制度の整備を行う。ローカル5Gは世界と比べても日本が先行しているといえる」と谷脇氏は語っている。
信号機を5G基地局へ
この他、講演では総務省が2019年6月に発表した「ICTインフラ地域展開マスタープラン」についても説明した。この施策はSociety5.0時代におけるICTインフラを活用した地域課題の解決に向けた環境整備の方針を示したものだ。ネットワーク構築に向けて、通信機器やネットワーク設備機器の異なるメーカーの規格を統一してよりオープンに構築することを目的として組織「O-RAN Alliance」や、ネットワークの制御に人工知能を活用して自動化することを目指すなど、5Gの次のテクノロジー「beyond 5G」、事業者による基地局のシェアリング、交通信号機を活用した5Gネットワークの構築などについて紹介した。
この中で、交通信号機の5G利用は、全国の21万基の信号機を5G基地局にしようという取り組みである。現在交通信号機の内、ネットワークにつながっているのは約3割である。これらの信号機を、5Gを利用したネットワーク化することで、集中制御エリアの拡大や自動運転社会を見据えたより安全で円滑な交通実現が期待される。「5Gになり基地局は小型化が可能になったことから事業者からみても信号機に基地局を設置することができれば、インフラ展開に大きなメリットがある」と谷脇氏は述べている。
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