パナソニックがテレビ事業の構造改革へ「赤字を出しながら続けるものではない」:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
パナソニックの2019年度(2020年3月期)第1四半期決算は、2018年度後半から続く中国市場の市況悪化の他、欧州市場向けの車載機器の開発費増加や、テレビ事業の赤字転落などにより減収減益となった。
テスラ向けの車載電池は「コスト削減の余地がまだある」
パナソニックは2019年度からの中期経営計画で、共創による競争力強化や収益性の改善に向けた事業ポートフォリオ改革を進める方針を示している。これらのうち収益性の改善では、ディスクリート半導体事業の一部譲渡、ソーラー事業の開発・生産体制の最適化などを発表している。
欧州とアジアで苦戦が続くテレビ事業は、2019年度第1四半期の時点で既に赤字になっている。梅田氏は「赤字を出しながら続けるものではない」として、全面的にコスト構造を見直す方針を示した。例えば、メキシコのテレビ製造拠点は閉鎖手続に入っており、この他の製造拠点についても効率化を進める可能性がある。「当社は米国と中国ではテレビを販売していないが、日本国内のテレビ販売は好調だ。このように今後も地域ごと、販売価格帯ごとなどに状況をみて判断していくことになるだろう。自社で製造せず、他社からのOEM供給という選択肢もある」(梅田氏)という。
また、収益性改善の対象になっている半導体事業は、ファウンドリであるタワージャズとの契約更改の効果が2019年度第2四半期から出てくるとした。梅田氏は「2019年度中の黒字化を目指していたが、足元の半導体市場の厳しさもあり、達成については不透明だ」と述べる。
AM社の売り上げをけん引している車載電池については、角形電池はトヨタ自動車との合弁施策に基づき増産投資を予定通り進める。また、中国政府が検討しているハイブリッド車の優遇措置もパナソニックにとってプラスに働くとした。
テスラ向けの円筒形電池は、同社の電池工場「ギガファクトリー」に年産35GWh分の設備を納入しているものの、まだ生産能力が35GWhに達していないという。「これの立ち上げを進めつつ、歩留まりもさらに向上していく。現時点では赤字だが、コスト削減の余地はまだある」(梅田氏)としている。
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