パナソニックがテレビ事業の構造改革へ「赤字を出しながら続けるものではない」:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
パナソニックの2019年度(2020年3月期)第1四半期決算は、2018年度後半から続く中国市場の市況悪化の他、欧州市場向けの車載機器の開発費増加や、テレビ事業の赤字転落などにより減収減益となった。
パナソニックは2019年7月31日、東京都内で会見を開き、2019年度(2020年3月期)第1四半期の決算について説明した。2018年度後半から続く中国市場の市況悪化の他、欧州市場向けの車載機器の開発費増加や、テレビ事業の赤字転落などにより減収減益となった。
2019年度第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比5%減(為替の影響を除いた実質ベース)の1兆8911億円、営業利益が同44%減の564億円、税引前利益が同45%減の562億円、当期純利益が同13%減の498億円。
パナソニックは、2019年度から7カンパニー制への組織変更を行った※)。これらのうち、家電を扱うアプライアンス(AP)社、住設を扱うライフソリューションズ(LS)社、B2Bのソリューション事業を手掛けるコネクティッドソリューションズ(CNS)社、車載機器を扱うオートモーティブ(AM)社、産業機器やデバイスを扱うインダストリアルソリューションズ(IS)社の5カンパニーの業績をセグメント別で発表している。なお、海外現地の事業展開を推進する中国・北東アジア社とUS社の2カンパニーの業績については、中国・北東アジア社はAP社とLS社に、US社はAP社とAM社に含まれており、開示はしていない。
※)関連記事:パナソニックが7カンパニー体制へ、AIS社が車載と産業に分割
中国市場の市況悪化の影響を大きく受けたのはCNS社とIS社だ。CNS社は、中国自動車市場の減少に合わせた欧州電装部品メーカーの投資抑制により実装機を扱うプロセスオートメーション事業が大幅な減収になった。IS社も、米中貿易摩擦の影響が続く中で、リレー、コンデンサー、抵抗、サーボモーターの売り上げが減少した。ただし、期初に発表した2019年度の全社通期業績見込みでは営業利益を3000億円と予想しており、「例年第1四半期の営業利益の進捗率は通期の約20%なので、中国市場による影響は想定から大きくずれているわけではない」(パナソニック 取締役 常務執行役員 CFOの梅田博和氏)という。
AP社は、空調機器や国内向け家電などは好調だったものの、テレビ事業が欧州向けの有機ELテレビやアジア向けの普及価格帯製品で厳しい価格競争にさらされ苦戦。トータルとして減収減益となった。AM社は、車載電池の販売伸長により増収となったが、欧州市場向けの車載機器の開発費増加がピークを迎えるなどして大きな減益要因になっている。加えて、車載電池もテスラ(Tesla)向けの円筒形電池が利益面で貢献する段階に入っておらず、営業損失は前年同期の15億円から100億円に拡大している。唯一好調だったのがLS社で、国内の住宅関連事業が堅調に推移し増収増益となった。
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