トヨタが新型ロボットを発表、東京五輪で3つの「移動」を支援:ロボット開発ニュース(1/3 ページ)
トヨタ自動車は、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」向けに開発した、マスコット「ミライトワ」「ソメイティ」のロボットや、屋外でも利用可能なテレプレゼンスロボット「T-TR1」、フィールド競技サポートロボット「FSR」などを発表した。
トヨタ自動車は2019年7月22日、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)」向けに開発したロボットを発表した。東京2020大会のマスコット「ミライトワ」「ソメイティ」のロボットや、屋外でも利用可能なテレプレゼンスロボット「T-TR1」、陸上投てき競技におけるハンマーややりなどの回収、運搬をサポートするフィールド競技サポートロボット「FSR」などがあり、今後1年をかけて実証実験を進めて行く方針だ。
トヨタ自動車は、東京2020大会の組織委員会を中心に取り組みが進んでいる「東京2020ロボットプロジェクト」に参画。また、「Mobility for All(全ての人に移動の自由を)」の実現に向け、東京2020大会のさまざまな場所で活躍するロボットの開発を進めている。
同社 未来創生センター R-フロンティア部 2020ロボット開発室長の山内実氏は「Mobility for Allでは、人やモノが実際に動く『物理的な移動』だけでなく、アバターやエージェントを介して自身を仮想的に遠隔地に移動させる『バーチャルな移動』、そして移動によって生まれる『感動』も移動だと考えている。これら3つの移動を通じて、全ての人を支援していきたい」と語る。
マスコットロボットが「バーチャルな移動」を支援する
東京2020大会のマスコットロボットの開発では、トヨタ自動車がロボット技術を、東京2020大会の組織委員会がマスコットの表情や動きなどの仕様策定を担当。額の部分に搭載したカメラを使って人を認識し、表情や動きによるインタラクティブなコミュニケーションを行える。表情の変化は目に組み込んだディスプレイによる表示を使って行う。現時点で目の表示は8〜9種類あるという。
上半身だけでなく脚部を含めた全身に、柔軟な動作制御が可能な小型関節ユニットを20個搭載し、立って動けるようにする。また、マスコットロボットをコントローラーとして、その手足の動きや力を、競技会場や選手村などにあるヒューマノイドロボット「T-HR3」に伝達することもできる。これによって、映像や音声だけでなくハイタッチなどの“触れ合い”も伝えられるので、遠隔地からのアスリートとの交流という「バーチャルな移動」が可能になる。
なお、T-HR3は2017年11月に発表した第3世代のヒューマノイドロボットで、マスター操縦システムを使って操作し、ロボットが外から受ける力を操縦者に伝えることもできる※)。この技術を基に、マスコットロボットとヒューマノイドロボットの間における力と動きの伝達も実現している。
※)関連記事:トヨタ自動車、第3世代ヒューマノイドロボットを開発
東京2020大会では、ミライトワだけでなくソメイティのマスコットロボットも投入し、合計10体ほどで運用することを想定している。
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