プライベートLTEを展開するパナソニック、ローカル5Gも見据える:製造業IoT
パナソニック システムソリューションズ ジャパン(PSSJ)が、ユーザーイベント「SOLUTION Japan 2019」において、自治体や企業が独自にLTEを用いた無線ネットワークを構築できる「プライベートLTEネットワークシステム」の関連ソリューションを披露。2019年秋からの本格展開を計画している。
パナソニック システムソリューションズ ジャパン(PSSJ)は、東京都内で開催したユーザーイベント「SOLUTION Japan 2019」(2019年7月10〜11日)において、自治体や企業が独自にLTEを用いた無線ネットワークを構築できる「プライベートLTEネットワークシステム」の関連ソリューションを披露した。現在、北海道岩見沢市などで実証実験を進めている段階で、2019年秋からの本格展開を計画している。
製造業をはじめIoT(モノのインターネット)の活用が求められる中で、その無線通信方式の一つとしてプライベートLTEへの注目が高まっている。プライベートLTEは、通信キャリアのLTEネットワークがカバーしない場所でも安定して利用できる他、非常時や輻輳(ふくそう)時の通信に強く、閉域網によって高いセキュリティ性を確保できることなどが特徴。総務省は、地域広帯域移動無線アクセス(地域BWA)用に割り当てられている2.5GHz帯20MHz幅の帯域を、LTEを用いた自営無線でも利用できるようにする「自営BWA」の検討を進めており、2019年8月までに制度整備を終える予定だ※)。さらには、次世代通信技術である5Gを用いた、ローカルニーズに基づく比較的小規模な通信環境を構築する「ローカル5G」の検討も進んでいる。
※)関連記事:プライベートLTEからローカル5Gへ、ドイツの製造業は進化を止めず
PSSJのプライベートLTEネットワークシステムは、これらの流れを見据えて開発された。同社はパナソニックグループの中で公共インフラシステムを担当しており、無線通信事業のうち防災無線では国内トップシェアを誇る。それら無線システムに求められる無線通信技術やシステム制御技術を生かしたのが、今回のプライベートLTEネットワークシステムになる。
運用監視サービスから、ローカルコア、基地局、SIMカードの発行、スマートフォンなどの対応端末に至るまで「ワンストップで提供できる」(PSSJの説明員)ことを最大の特徴とする。SOLUTION Japan 2019の展示では、当面のサービス提供帯域である2.5GHz帯に対応するマクロセル基地局をはじめ関連機器を展示していた。
将来的には、政府の法制化に合わせてスモールセルとなる1.9GHz帯に対応する基地局の提供も視野に入れつつ、ローカル5Gへの展開拡大も見据えている。「工場、港湾や空港などの社会インフラ、農地などさまざまな引き合いがある。これらの需要に対応できるように提案を強化していきたい」(同説明員)としている。
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