バズワード化するMaaS、そして自動運転ビジネス化への道のりは近くて遠い:次世代モビリティの行方(5)(3/4 ページ)
これまでスタンドアロンな存在だった自動車は、自動運転技術の導入や通信技術でつながることによって新たな「次世代モビリティ」となりつつある。本連載では、主要な海外イベントを通して、次世代モビリティの行方を探っていく。連載第5回では、「第3回ReVisionモビリティサミット」での議論から、自動運転領域における日本の現在地を見据える。
電動化の進展は確実、ただしエンジンの重要性も変わらず
一方、E=電動化については世界的にはこのまま進展していくと考えられるが、国際エネルギー機関(IEA)のシナリオによると、2040年時点でもハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)を含めたエンジン搭載する車両の比率は84%に達する。つまり、エンジンを搭載しない電気自動車(EV)への移行が進む過程において、HEVやPHEVが間をつなぐことから、引き続きエンジンが重要であることに変わりはない。
また、EV化により自動車の部品点数が3万から1万に減少すると予想されており、自動車関連サプライヤーの構造変化が起こるとの見方がある。しかしこれも「近い将来に起こる話ではない」と、経済産業省 製造産業局 自動車課 課長補佐の眞柳秀人氏は指摘する。
というのも、コバルトなどリチウムイオン電池に必要な資源の安定供給や、設備資源などの課題もある他、充電インフラをどうするのか、中古車市場形成において電池の劣化状況を判断する客観的な評価基準が必要ではないかなど、検討事項もまだまだ多いからだ。
EVの普及には電池の技術革新が重要な要素になる。欧州や中国が環境規制を強化している一方で、車両の高コスト化が消費者には受け入れられずEV化が進展していないという実情がある。その結果、燃費規制を達成するために、HEVやPHEVで間をつないでいかないと現実的には難しいからだ。
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