住友理工に対するマツダの163億円賠償請求、広島地裁が棄却:製造マネジメントニュース
マツダ車3車種でパワーステアリングの不具合が発生し、不具合の原因が住友理工(旧東海ゴム工業)製の部品にあるとして、マツダが住友理工を相手に損害賠償を求めた訴訟の判決で、広島地方裁判所は2019年6月24日、マツダの請求を棄却した。
マツダ車3車種でパワーステアリングの不具合が発生し、不具合の原因が住友理工(旧東海ゴム工業)製の部品にあるとして、マツダが住友理工を相手に損害賠償を求めた訴訟の判決で、広島地方裁判所は2019年6月24日、マツダの請求を棄却した。
マツダが2007年4月〜2008年11月に生産した「プレマシー」「アクセラ」「ビアンテ」で、電動油圧式パワーステアリングの配管内面にさびが発生し、油圧ポンプ内の損傷やハンドル操作力が増大するおそれがあった。この不具合を受け、同社は2009〜2010年にかけて、3車種約59万台に対してリコールや改善対策といった市場改善措置を国内外で実施していた。
マツダは不具合の原因が住友理工(旧東海ゴム工業)製の部品にあると主張し、2012年2月に住友理工に対して損害賠償の支払い協議に応じるよう求める調停を広島簡易裁判所に申し立てた。一方で、住友理工は当該部品が不具合の原因ではないと主張し、双方で合意成立が見込めなかったため、マツダは2014年6月に約162億7000万円の損害賠償を求める訴訟を広島地裁に提起していた。
広島地裁の判決は、「(住友理工の)部品が不具合の原因であるとする原告(マツダ)の主張は理由がない」(住友理工)としてマツダの主張を認めず、マツダの請求を棄却した。住友理工は、判決について「公正かつ妥当な判断が示されたもの」とし、判決によって業績への影響はないと発表した。
マツダは「主張が認められなかったことは遺憾であり、判決内容を精査して今後の対応を決定する」とコメント。また、「本件裁判とは切り離して、住友理工とこれからもビジネスを継続する」(マツダ広報)としている。
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