デンソーの車両周辺監視システムに採用された機能安全リアルタイムOS:組み込み採用事例
イーソルの機能安全対応リアルタイムOS「eT-Kernel MCE」が、デンソーの車両周辺監視システムに採用された。
イーソルは2019年5月28日、同社の機能安全対応マルチコアプロセッサ向けリアルタイムOS「eT-Kernel MCE(Multi-Core Edition)」が、デンソーの車両周辺監視システムに採用されたと発表した。eT-Kernel MCEをベースにしたプラットフォームに加え、セーフティメカニズムの構築を支援するサービスも提供する。
デンソーの車両周辺監視システムは、高精度のカメラ映像と画像処理技術を組み合わせており、車両周辺に搭載したカメラの合成画像から得られる鮮明な映像と高い検知機能を特長とする。
eT-Kernel MCEは、独自の「ブレンドスケジューリング」機能により、1つのOS内でSMP型とAMP型を含む複数のプログラムが混在できる。4つのスケジューリングモードを用意しており、適切なモードを選択することで、SMP型のメリットである高スループットと、AMP型が持つ、リアルタイム性の確保やソフトウェア資産の再利用のしやすさを1つのシステム内で発揮できる。
eT-Kernelは、ISO 26262のASIL DやIEC 61508のSIL 4といった自動車や産業機器の機能安全規格で最高レベルの認証を取得済み。リアルタイムOSを使うシステムの開発環境である「eBinder」も、ISO 26262やIEC 61508の要件を満たしている。さらにイーソルは、eT-KernelとeBinderのユーザーに、セーフティマニュアルやセーフティレポートなどをパッケージにした「eT-Kernel Safety Package」を提供する。
車両周辺監視システムの開発では、厳しいリアルタイム性や高い品質が求められるが、イーソルはeT-Kernel MCEプラットフォームやセーフティパッケージの提供により、機能安全に対応した優れた安全性と信頼性の確保に貢献する。
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