「業務の自動化による失業」を心配しているのは16%:キャリアニュース
ServiceNow Japanが「業務自動化に関する国際調査」の結果を発表した。日本は、業務自動化の導入率が調査対象国の中で最も低かった。業務自動化に伴う失業を懸念する人は16%で、仕事のやり方が変わることを案じる回答の方が45%と多かった。
ServiceNow Japanは2019年6月5日、「業務自動化に関する国際調査」の結果を発表した。
同調査は、12の国と地域に拠点を置く、従業員数500人以上の企業に勤める人のうち、日常業務でコンピュータやノートパソコン、タブレットを利用する18歳以上の正社員6477人を対象とした。内訳は、アメリカ1500人、日本513人、カナダ513人、メキシコ510人、フランス506人、イギリス502人、オーストラリア500人、ドイツ500人、インド500人、香港317人、オランダ312人、シンガポール304人となっている。
「過去3年間に自身の業務や業務プロセスに自動化が導入された」と回答した人の割合は、日本では42%、世界平均は57%で、調査対象の国と地域の中で日本が最も低かった。
「業務に必要なデジタルスキル」に関しては、日本は20%が「業務に必要なデジタルスキルを備えていない」と回答。世界平均は6%だった。また、「キャリアアップに必要なデジタルスキルを備えていない」は、日本29%、世界平均は11%。デジタルスキルに自信を持たない回答者の割合は日本が最も高かった。
世界的に見ると、日本は自動化を通した業務効率化や生産性向上が十分ではなく、他国に比べて後れを取っている、デジタルトランスフォーメーション後進国と言えそうだ。
次に、「職場での業務の自動化レベル」を調べた。その結果、日本は業務プロセスの平均的な自動化レベルについて「手作業に頼っている」または「極めて手作業に頼っている」と39%が回答した。これは世界平均では29%で、12の国、地域と比較すると、日本は手作業への依存が高い職場の割合が最も高くなっている。
自身の業務が「自動化されている」または「極めて自動化されている」と回答した日本の回答者は20%。12の国と地域の中で自動化が進んでいる職場の割合のワースト3は、香港14%、カナダ19%で、日本は3番目に低い結果となった。
続いて、職場の自動化が、従業員の幸福度や生産性の向上、ストレスの軽減をもたらすかについて調べた。「仕事への満足度が向上するか」については、日本と世界平均ともに58%が「向上する」と回答。「創造的な業務に費やす時間が増加するか」は、日本は60%、世界平均では59%が「増加する」と回答した。生産性に関しては、日本は74%が、職場の自動化によって生産性が「向上する」と回答。世界平均は69%だった。
業務のストレスについては、「手作業に頼っている」または「極めて手作業に頼っている」職場で働く人のうち、「極めてストレスを感じる」「非常にストレスを感じる」と回答したのは、日本は39%、世界平均では38%だった。一方、「自動化されている」「極めて自動化されている」職場で働く人で、「極めてストレスを感じる」「非常にストレスを感じる」と回答したのは、日本は25%、世界平均では30%。自動化の進展によって、差が見られた。
失業よりも仕事のやり方が変わることを懸念
業務の自動化に伴う懸念についても調べた。自動化によって仕事を失うことについては、日本の16%、世界平均では19%が「懸念している」と回答した。「自動化によって仕事のやり方を変える必要があること」を「懸念している」と回答したのは、日本が45%、世界平均は33%。「自動化によって新しいスキルやプロセスを習得する必要があることを懸念している」と回答したのは、日本44%、世界平均37%だった。
「未来の働き方と聞いて連想するもの」は、日本の89%、世界平均では88%が「AI(人工知能)や関連技術(ビッグデータ分析、ロボティクス、チャットボットなど)」と回答した。また、「データ分析のスキルを学習、強化、または向上させたい」と回答したのは、日本が44%、世界平均では43%だった。データ分析スキルは、問題解決や人材管理、交渉、コンピュータプログラミング、ウェブデザインといったスキルの中で、従業員が向上したいスキルのトップとなった。
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