産業機械のIoT化に対応、電力や振動の遠隔監視機能を搭載した小形ギヤモーター:FAニュース
椿本チエインは、コンベヤーなどの稼働状況の遠隔監視機能を搭載した「つばき小形ギヤモータ IoT対応自己遮断仕様」を発売した。電力、温度、振動センサーを搭載したユニットを汎用ギヤモーターに付加している。
椿本チエインは2019年6月1日、コンベヤーなどの稼働状況の遠隔監視機能を搭載した「つばき小形ギヤモータ IoT(モノのインターネット)対応自己遮断仕様」を発売した。販売機種は、ハイポイドモートル、ハイポイドモートルミニ、クローゼモーター、ギヤモートルで、対応容量は40W〜0.4kW。2019年度は3000万円、2021年度は6000万円の販売計画を掲げる。
本製品は、高精度の電力、温度、振動センサーを搭載したユニットを汎用ギヤモーターに付加している。負荷状況の監視、異常時のモーター停止、それらの自動記録機能、ネットワークにつなげて遠隔監視する機能を一体化して、それぞれの負荷を常時監視するため、未然にトラブル発生を防ぎ、異常発生時にはモーターを自動停止する。各種データの自動保存機能も搭載しており、トラブル発生時の要因を分析できる。
電力の監視により、軽負荷から高負荷まで高精度に監視。温度センサーや振動センサーを用いて連続した高負荷運転によるモーターの発熱や振動も同時に監視し、装置全体の負荷状況を把握する。
電力、温度、振動は設定値を超えると異常と判断され、ギヤモーターの運転が自動停止する。電力監視では、瞬間的な過負荷の監視に加え、徐々に負荷が増加する場合も安全に停止するサーマル監視に対応。チェーンが切れるなどで負荷が軽くなった場合も検知し、停止する。異常発生時は、自動停止した時点からさかのぼって初期設定で10秒間のデータを自動保存する。
IoTに対応する機能も搭載。ネットワークに接続することで、さまざまな機器と接続できる。リアルタイムでギヤモーターの運転状況を遠隔監視し、データを分析、活用できる。クラウド上のサーバやPLC(programmable logic controller)、PCとのネットワーク接続機能を搭載。通信方式は、modbus(RS-485)を採用している。
ネットワーク接続機能の活用により、装置の負荷状況による電力値の変化や駆動部の発熱、振動の状況を遠隔で最大16台監視し、設備を可視化する。専用ソフトウェアを活用することで、各種データの保存、各パラメータの変更がユーザー側ででき、PC接続時には、各種値の負荷状況をリアルタイムで波形表示できる。
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