製造業勤務経験者の約6割が1年未満で退職:キャリアニュース
ディップ総合研究所が「製造業の就業実態」の調査結果を発表した。製造業を辞めたい理由の1位は「仕事のやりがいがない」だった。また、過去に製造業に就いていた人の約6割が、1年未満で退職していたことが分かった。
ディップ総合研究所は2019年4月25日、「製造業の就業実態」の調査結果を発表した。
同調査は47都道府県在住者を対象としたもので、3101件の有効回答が得られた。このうち、「現在、製造業で就業している」人、「過去、製造業で就業していた」人はいずれも10.2%で、「製造業で就業したことがない」人は79.6%だった。
「現在、製造業で就業している」人の属性を調べたところ、年齢は「20代」と「30代」が多く、どちらも29.6%だった。業種は「自動車、航空機、輸送用機械」(33.8%)が最も多く、僅差で「食品、飲料系」(30.3%)が続いている。
現在の仕事(製造業)の継続意向を尋ねたところ、全体では「継続したい」(31.1%)と「どちらかというと継続したい」(23.8%)を合わせて、「継続したい」が過半数を占めた。就業期間別に見ると、勤務開始から「3カ月未満」の人は「継続したい」が28.0%、「どちらかというと継続したい」が16.0%で、合わせて44.0%に留まっている。また、「3カ月未満」の人は、「継続したくない」(12.0%)、「どちらかというと継続したくない」(20.0%)を合わせた回答が、他の就業期間のグループと比較して最も高い水準になった。
「現在の仕事(製造業)を継続したい理由」として最も多かったのは、「シフトや休みが比較的希望通りになる」(53.6%)だった。続いて、「業務内容の難易度が適当である」(48.0%)、「個人作業で業務を進められる」(44.8%)となった。
これを勤続年数別に見ると、各グループの1位は「1年未満」が「業務内容の難易度が適当である」(59.5%)、「1年〜5年未満」と「5年以上」は「シフトや休みが比較的希望通りになる」(60.4%、54.3%)だった。
「現在の仕事(製造業)を継続したいとは思わない(辞めたい)理由」の1位は、「仕事のやりがいがない」(47.1%)が最多。2位が「給与(収入)が仕事内容の割に不十分である」(45.6%)、3位が「昇給や評価が適当でない、もしくは制度が整っていない」(38.2%)という結果だった。
勤続年数別では、「1年未満」は「仕事のやりがいがない」(44.4%)が最も多かった。「1年〜5年未満」と「5年以上」は「給与(収入)が仕事内容の割に不十分である」(42.1%、58.3%)が1位だった。
「給与(収入)」については、「仕事内容の割に十分である」の回答が「継続したい理由」の4位に入った一方で、「(給与が)不十分である」が「継続したいとは思わない(辞めたい)理由」の2位にランクインしている。これらの結果を勤務期間と重ねてみると、勤務期間が比較的短い人は「(給与が十分なので)継続したい」と考えており、勤務期間が長い人は、給与が不十分であることを「継続したいとは思わない(辞めたい)理由」に挙げる傾向が見られた。
また、就業期間「5年以上」の人の54.2%が、「継続したいとは思わない(辞めたい)理由」として「仕事のやりがいがない」「昇給や評価が適当でない、もしくは制度が整っていない」(同率2位)を挙げている。
退職理由の1位は「雇用が安定していない」
「過去、製造業で就業していた」人については、年齢は「20代」と「30代」が多く、どちらも29.8%だった。業種は「食品、飲料系」(40.1%)が最も多かった。
製造業経験者に「退職までの勤務期間」を尋ねたところ、「1カ月未満」が22.0%、「1〜3カ月未満」が13.4%で、3カ月未満での退職が、3割以上となっている。さらに「3〜6カ月未満」9.8%、「6カ月〜1年未満」12.2%を合わせると、1年未満で退職した人が約6割にのぼった。
「製造業を退職した理由」は「雇用が安定していない」(34.1%)が最も多かった。続いて、「仕事のやりがいがない」(32.9%)、「職場環境が整っていない」(29.3%)となった。2位の「仕事のやりがいがない」、4位の「給与(収入)が仕事内容の割に不十分である」は、現在製造業で働いている人の「継続したいとは思わない(辞めたい)理由」でも、上位に挙がっている。
次に、現在就業者の「継続したいとは思わない(辞めたい)理由」と、退職者の「退職した理由」で1位となった項目について調べた。現在就業者の「継続したいとは思わない(辞めたい)理由」の1位である「仕事のやりがいがない」について、その要因を尋ねたところ、最も多かったのが「同じ業務ばかりで単調である」(55.9%)で、2位が「自分でなくてもできる業務が多い」となった。
退職者が挙げた退職理由の1位「雇用が安定していない」については、許容できる中で最も希望する雇用形態として、「正社員」を挙げた人が最も多かった。
続いて、製造業就業経験者に「勤務先の希望」を尋ねた。その結果、「自宅から通勤できる勤務先を希望する」が最多で60.9%を占めた。「できる限り、自宅から通勤できる勤務先を希望する」(23.2%)を合わせると、8割以上が自宅から通勤することを希望していることになる。
転居を伴う勤務先である場合、企業の対応が就業意向に影響をおよぼすかについては、「月々の家賃手当がある」と「入社祝い金がある」の2つの項目は、「この対応がないと就業しない」「(この対応があれば)就業意向がとても高まる」を合わせた回答が、どちらも50%以上になった。
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