深層学習、機械学習を活用した監視機能と良否判定機能を共同開発:FAニュース
ファナックは、Preferred Networksと共同開発した新しいAI機能を発表した。深層学習を活用した「AIサーボモニター機能」と、機械学習を活用した「AI良否判定機能」の2つで、機械稼働率の向上や製品の良否判定作業の効率化に貢献する。
ファナックは2019年4月8日、Preferred Networksと共同開発した、新しいAI(人工知能)機能について発表した。深層学習を活用した「AIサーボモニター機能」と、機械学習を活用した「AI良否判定機能」の2つで、それぞれ同年7月と同年8月に出荷を開始する予定だ。
AIサーボモニター機能は、機械の送り軸や主軸の制御データを高速サンプリングし、これに深層学習を適用して異常度を提示する機能。機械が故障する前に送り軸や主軸の異常の兆候を知ることで、加工ラインの長時間停止などを防止する。
機械の正常動作中に、AIサーボモニターがモーターのトルクデータを学習して、その特徴量を取り出し、正常な状態の学習モデルを作成する。そのモデルと実稼働中に得られるトルクデータを比較して、「異常度」を算出し、提示する。これにより、オペレーターは送り軸や主軸の異常の兆候を知ることができ、故障前のメンテナンスが可能になる。
AI良否判定機能は、ロボットが機械学習を用いて、対象物のOK画像、NG画像に基づき良否を判定するものだ。溶接や組み付けをした部品の有無、部品の表裏の正誤など、生産工程における確認作業を、ロボット制御装置の内蔵ビジョンで実施できる。
従来のビジョン機能では、対象物の周辺に溶接スパッタやすすが残っていた場合、対象物を見つけにくくなり誤判定するといった課題があった。AI良否判定機能は、物の形状と位置を見つけるのではなく、機械学習を用いて画像から良否を判定するため、OKとNGの画像を数枚から数十枚学習させるだけで、高精度な判定が可能だ。
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