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低速自動運転を“商品レベル”で実現へ、ヤマハ発動機とDMPがAIで資本提携人工知能ニュース(1/2 ページ)

ヤマハ発動機は2019年5月12日、同社製品の自動化と自律化の実現に向けた知能化技術(AI)開発力の強化を目的として、ディジタルメディアプロフェッショナル(以下、DMP)と業務資本提携を行うことを発表した。DMPが行う第三者割当新株式をヤマハ発動機が引き受ける形となり、出資完了後はヤマハ発動機がDMPの筆頭株主となる。

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 ヤマハ発動機は2019年5月12日、同社製品の自動化と自律化の実現に向けた知能化技術(AI)開発力の強化を目的として、ディジタルメディアプロフェッショナル(以下、DMP)と業務資本提携を行うことを発表した。DMPが行う第三者割当新株式をヤマハ発動機が引き受ける形となり、出資完了後はヤマハ発動機がDMPの筆頭株主となる。

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業務資本提携で握手をするヤマハ発動機 上席執行役員 先進技術本部長の藤田宏昭氏(左)とDMP 代表取締役社長 CEOの山本達夫氏(右)(クリックで拡大)

AIに強みを持つファブレス半導体ベンダーであるDMP

 今回ヤマハ発動機が出資を決めたDMPは2002年に創業のファブレス半導体ベンダーである。創業以来、組み込み分野向けのGPU IPの開発や、SoC/モジュールの開発、販売などを行ってきた。従来は主に画像処理系分野での導入が多く、携帯型ゲーム機やデジタルカメラなどで採用されてきたが、ここ最近ではGPUをAIに活用するケースが増えたことから、AIプロセッサのIPやモジュール開発、ソフトウェア開発などの案件が増えているという。

 DMP 代表取締役社長 CEOの山本達夫氏は「GPUといえばNVIDIAが有名だが、NVIDIAのGPUは高性能かつ大規模で、汎用的な用途のものだ。DMPは創業当初から組み込み仕様のGPU開発を行ってきている。製品に組み込む機器ではハードウェアリソースが限られるため、規模は大きなものではないが組み込みレベルでは十分な性能を確保していることが特徴で、そこにDMPの強みがある」と同社の事業について述べる。

 AIに関する事業としては、IPコアからモジュール、ソフトウェアまで、AIを製品に組み込む一連のポートフォリオをそろえているということが特徴だ。「製品としてIPコアではAI推論プロセッサIP、モジュール製品ではAI推論処理モジュール、ソフトウェア製品では画像認識・分類エンジンなどを展開している。さらに、これらのアルゴリズム開発からソフトウェアの最適化、ハードウェアアクセラレーションまでのサイクルを一元的に請け負うことができるのも強みだ。最終的に製品に組み込むためのハードウェアにまで落とし込めるAI企業はあまり他にはない」と山本氏は強調した。

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DMPの強み(クリックで拡大)出典:DMP

ヤマハ製品の「知能化」に必須となるAIの開発

 ヤマハ発動機では、2030年までの長期ビジョンとして「ART for Human Possibilities」を掲げ、ロボティクス(やAI)を活用して社会課題の解決を目指し、モビリティの変革に取り組んでいく方針を示している。その中で、ヤマハ発動機の持つ個々の製品の「知能化」は重要課題だとしている。当然、ヤマハ発動機内でもAIの開発を進めている他、2018年9月にはGPU大手のNVIDIAとも協業を発表するなど、リソース確保にさまざまな取り組みを進めている※)

※)関連記事:ヤマハ発動機が「万能型の知能化プラットフォーム」を構築へ、NVIDIAと協業

 そして今回は主に「製品に組み込むAI」に対する開発力強化の意味でDMPと業務資本提携を決めたとする。ヤマハ発動機 上席執行役員 先進技術本部長の藤田宏昭氏は「ヤマハ発動機では、以前からAI関連の開発委託でDMPとは関係があった。製品に組み込むことを考えると最終的にハードウェアまで落とし込めなければならない。このDMPの『製品に組み込めるという点」を評価し、従来以上の範囲で製品開発を共に行えるようにしたいということから関係強化に踏み切った」と狙いについて述べている。

 ハードウェアへの落とし込みについては「モビリティにしてもその他の製品にしても製品に組み込むものに大きなコンピューティングリソースを与えることはできないのが一般的である。コンピューティングリソースが小規模で、低価格のハードウェアで、さらに開発費用も低減できるようなコスト感などを考えると、パイロット的な実証の内容がそのまま使えるわけではない。その落とし込みに非常に苦労するものだが、DMPはそこでノウハウがある。そこが魅力だった」と藤田氏はDMPの魅力について訴えている。

 一方で、DMP側にとってのヤマハ発動機の魅力について、山本氏は「モビリティで特に低速車両を保有しているというのが大きな魅力だった。DMPにとっても自動運転は充填強化領域と位置付けているが、自動車など高速車両での自動運転は実際には2030年以上に実現する話でさらにその時期でも比率は全車両の中の10%以下でしかないと見られている。ただ、自動運転技術としての面で見れば、低速車両でも高速車両でも要素技術は同じだ。ヤマハ発動機が展開する低速車両で実践的な自動運転技術に取り組むことでDMPの技術レベルも高められる他、後の高速自動運転に向けた大きなベースを作ることができる」と考えを述べている。

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