フル3Dモデルも軽快に操作できる“現場で使える”VR検証ソリューション:VRニュース
ラティス・テクノロジーは、超軽量3Dデータフォーマット「XVL」を活用したVR(仮想現実)検証ソリューション「XVL Studio VRオプション」の提供開始を発表した。
目指したのは“製造現場で使えるVR”
ラティス・テクノロジーは2019年5月8日、超軽量3Dデータフォーマット「XVL」を活用したVR(仮想現実)検証ソリューション「XVL Studio VRオプション(以下、XVL VR)」の提供開始を発表した。
同ソリューションは、XVLデータをVR空間に展開し、3Dによる検証作業を支援するもので、実機や現物を用いる前段階で多面的な検証が行えるのが特長である。既存の3DデータやXVLデータ資産を有効活用することで、課題の早期発見などにつなげるフロントローディングを加速させ、設計および生産に関するQCDの向上に貢献する“製造現場で使えるVR”をコンセプトに開発された。
設計段階で作成した3D CADデータをベースとするXVLを用いることにより、実製品と同等レベルの“フル3Dモデル”を利用したVR検証が可能。実物と同じ感覚での視認性検証の他、工具が隙間に入るかなどの作業空間の検証、作業中の身体の負担を確認する姿勢検証を手軽かつ高精度に行える。
一部の製造現場などでは、既に3Dデータを活用した作業性の検証が行われているが、ディスプレイ上では確認できても現物では見えにくい箇所があったり、そもそも作業者の姿勢を確認できなかったりするなど、後工程で問題が発覚するケースも少なくなかった。こうした課題解決のアプローチとして、これまでは3Dデータ内にヒューマンモデル(作業者の3Dモデル)を配置して確認したり、一般的なVRソリューションを用いたりする手段が用いられてきたが、いずれもデータの準備や設定などに多大な手間が掛かっていた。さらに、一般的なVRソリューションでは形状だけしか確認できず、3Dデータを簡略化しなければ大規模なモデルをVR空間で扱えないといった問題も抱えていた。
既存課題を解決する「XVL VR」、その4つの特長とは?
XVL VRはこれらの課題を解決するもので、
- VR向けにデータ変換する必要がない(XVLデータ資産があれば)
- VR空間でフル3Dモデルを軽快に操作できる
- XVLデータに含まれるモノづくり情報を活用できる
- VRレビュー結果をXVLデータに記録できる
といった特長を備える。
XVLの編集および閲覧ツールである「XVL Studio」からワンクリックでVRレビューを実行でき、VR空間で3Dデータを扱うための編集や変換作業が一切不要。XVLの特長である大容量3Dデータの高速表示も継承しており、“VR酔い”の原因となる遅延の少ない状態で快適に検証作業が行える。
また、XVLデータに含まれるM-BOMや工程などの情報もVR空間に取り込めるため、形状とモノづくり情報を組み合わせた検証も可能である(工程アニメーション機能は2019年10月リリース予定)。そして、VR検証中に発見した問題箇所などはスナップショット機能で記録することで、関係者への共有および検討に役立てることができる。
XVL VRは、「XVL Studio Standard/Pro」のオプション品として提供される。提供価格(税別)は1ライセンス当たり250万円で、年間保守費は50万円。対応機器は「HTC VIVE」および「HTC VIVE Pro」で、VIVE READY PCでの動作を保証する(※)。
※対応機器およびVIVE READY PCは顧客自身で用意する必要がある。
なお、リリース当初はVR検証の基本機能を中心に提供。以降、組み立て性検証、設備表現、工具検証、ハンド表現など、順次機能拡張を進めていくという。
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