自動運転で産業規模が拡大する業種は「デジタルメディア」:キャリアニュース
自動運転ラボが、自動運転が現実となった結果、産業規模が拡大する業種、縮小する業種についての推計を発表した。産業規模が最も拡大する業種は「デジタルメディア」で、縮小するのは「保険」だった。
自動運転ラボは2019年4月10日、自動運転が現実となった結果、産業規模が拡大する業種、縮小する業種についての推計を発表した。
この推計は、テキサス大学オースティン校のLewis M. Clements氏とKara M. Kockelman氏が2017年に発表した論文「ECONOMIC EFFECTS OF AUTOMATED VEHICLES(自動運転車の経済効果)」の中で紹介されたものだ。
同論文で両氏は、自動運転が各産業に与える経済効果を試算した結果、推計対象の13業種のうち、6業種は産業規模が拡大し、7業種は縮小すると予想している。
最も有望なのは「デジタルメディア」
産業規模が拡大する6業種で、33%と最も成長率が高い業種は「デジタルメディア」だった。自動運転の普及によって、広告を含む車内向けインフォテイメントサービスの市場が巨大化するといわれていることから、「デジタルメディア」が有望とされたようだ。
次に成長率が高かったのは、17%増の「貨物輸送」。続いて「電子機器、ソフトウェア」(13%増)、「自動車」(7%増)、「土地開発」「オイル、ガス」(いずれも5%増)となっている。
産業規模が小さくなると考えられる7業種で、最も規模が縮小する業種は、60%減の「保険」だった。自動運転により交通事故が減少し、市場規模が総合的に縮小するとみられている。
次に縮小幅が大きかったのは、50%減の「交通警察」。続いて「個人移動」(31%減)、「自動車修理」(26%減)、「建築、インフラ」(4%減)となっている。「法律」と「医療」は共に1%減となった。
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