LTE-Mを活用した除雪車の位置情報と稼働時間の可視化に成功:組み込み採用事例
フジクラとIoTBASEは、長野県大町市でLPWAネットワークの1つであるLTE-M(LT Cat.M1)通信を活用した除雪車管理の実証実験を実施した。除雪車の位置情報と稼働時間の可視化に成功し、問い合わせに迅速に対応できた。
フジクラは2019年3月25日、IoTBASEと共同で、LPWA(低消費電力広域)ネットワークの1つであるLTE-M(LTE Cat.M1)通信を活用した除雪車管理の実証実験を長野県大町市で実施したと発表した。実証実験では、除雪車の位置情報と稼働時間の可視化に成功し、問い合わせに迅速に対応した。
今回の実証実験は、除雪車の稼働管理業務の効率化を目的とし、同年1〜3月にかけて実施。IoT(モノのインターネット)向けの通信規格LTE-Mに対応したGPS端末を除雪車に搭載し、事前に設定したエリアからの出入時に同端末より送信したメールの時刻から稼働時間を算出した。
除雪車の位置は、IoTBASEが提供するアプリケーション「SmartMap」によるリアルタイムでのマッピングを実施。車両ごとの移動データと作業範囲を可視化した。GPS端末は、フジクラの「Cat.M1 GPSトラッカー」を使用した。
これまでの手動による稼働集計とシステム計算による結果を比較したところ、稼働時間が同等精度で算出できた。
稼働エリアの可視化では、GPS端末から除雪車の位置情報を30秒間隔で送信することで、除雪ルートをほぼ正確にマッピングした。リアルタイムで作業状況や範囲を地図上で確認可能になり、除雪車の出動状況および作業場所を容易に把握し、除雪作業に関する問い合わせに迅速に対応できた。
今後両社は、同年度内に、除雪事業などに活用できる自治体向け位置情報ソリューションの製品化を目指す。
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