低消費電力で広範囲をカバー、Wi-SUN Enhanced HAN対応の無線通信モジュール:組み込み開発ニュース
ロームは、最新の国際無線通信規格「Wi-SUN Enhanced HAN」対応の小型汎用無線通信モジュール「BP35C0-J11」を発表した。リレー通信やスリープ通信により、広範囲のエリアをカバーしつつ、低消費電力で動作するIoTシステムの構築に貢献する。
ロームは2019年3月19日、最新の国際無線通信規格「Wi-SUN Enhanced HAN(Home Area Network)」対応の小型汎用無線通信モジュール「BP35C0-J11」を発表した。家庭内ネットワーク(HAN)の他、工場や商業施設内の広範囲のエリアをカバーしつつ、低消費電力で動作するIoT(モノのインターネット)システムを構築できる。
BP35C0-J11は、無線通信機能とマイコン、大容量メモリを内蔵したアンテナ外付けの面実装モジュール。Wi-SUNの最新規格の1つであるWi-SUN Enhanced HANで追加されたリレー通信機能やスリープ通信機能をサポートしている。リレー通信では、1対多対多のツリー型接続により、屋内外の離れた機器同士でも中継機を介して安定した通信ができる。スリープ通信では、省電力動作を考慮した双方向通信をサポートする。
また、Wi-SUNによる100kbpsの高速通信と、2つのファームウェア領域を持つラピスセミコンダクタの無線通信LSI「ML7416N」を組み合わせ、無線通信でファームウェアデータを配信・更新する「FOTA(Firmware update Over The Air)」機能を搭載した。規格のマイナーアップデートなどの際に、遠隔からファームウェアを更新できる。
Wi-SUN Enhanced HANの全モードをサポートしており、ゲートウェイから電池駆動機器、中継機、エンドデバイスまで利用できる。Wi-SUN Enhanced HAN認証試験の基準器(CTBU:Certified Test Bed Unit)にも登録されている。
現在、量産中で、サンプル価格は6800円/個(税別)。BP35C0-J11を実装した評価用基板「BP35C0-J11-T01」も提供している。
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