ArmとVodafoneがIoTの導入環境をシンプル化する提携に合意:製造業IoT
ArmとVodafoneは、IoTの導入環境をシンプルにするための提携に合意した。両社が持つIoTプラットフォームやソフトウェア、サービスを組み合わせることで、企業はIoT製品を安全に市場に導入し、低コストで容易に遠隔管理できるようになる。
Armは2019年2月25日、IoT(モノのインターネット)の導入環境をシンプルにするため、Vodafoneと提携したことを発表した。統合型SIM(iSIM)に関する両社のコラボレーションを拡大したものとなる。
今回の提携により、ナローバンドIoT(NB-IoT)とLong Term Evolution for Machines(LTE-M)の技術を活用し、VodafoneのIoTグローバルプラットフォームと、ArmのIoTソフトウェアおよびネットワークサービスを組み合わせ、ネットワーク接続型のシステムオンチップ(SoC)を設計する。
これにより、世界中のアプリケーションプロバイダーやサービスプロバイダーに対し、標準規格をベースにした安全でオープンな導入環境を提供する。従来型のSIMカードが不要になることから、顧客企業はIoT製品を安全に市場に導入できる上、遠隔による初期設定や管理を低コストで容易に実施できるようになる。
また、Arm Kigen iSIM」により、企業は開発した単一のIoT製品を世界全域に出荷して現地のネットワークに接続する手段を得られる。さらに、VodafoneのグローバルなIoTネットワークにより、企業はVodafone IoTプラットフォームやArm Pelion IoTプラットフォームを通じて、IoTデバイスを接続できる。
ネットワークに接続可能なデバイスの種類が大幅に増えることにより、IoTの潜在能力が解き放たれる。例えば、センサーから取得したデータを活用することで、農業や畜産の生産力が高まり、水の使用量や二酸化炭素排出量を削減するなど、食料問題や資源活用の課題解決にも貢献する。
両社は、共同ソリューションの提供を2020年第1四半期に開始する予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- SIGFOXやLoRaに完全競合する“NB-IoT”こと「LTE Cat.NB1」
今回は、NB-IoT(Narrow Band-IoT)として仕様策定が進められた「LTE Cat.NB1」を紹介する。LTE Cat.NB1よりも先に、MTC/M2M向けとして規格化された「Cat.0」にも触れたい。 - ソラコムもNTTドコモもサービス開始、セルラーLPWA「LTE-M」とは
ソラコムはIoT向けデータ通信サービス「SORACOM Air」において、セルラーLPWAネットワークの1つであるLTE-M(LTE Cat.M1)を利用できる「plan-KM1」の提供を始めると発表した。NTTドコモも、LTE-Mへの対応を発表している。 - 古くて新しい「LTE Cat.1」が「NB-IoT」と「Cat.M1」の穴を埋める
3GPPが策定する、IoT(モノのインターネット)向けLTE関連規格の1つに「LTE Cat.1」がある。2008年に仕様が確定した古い規格ではあるが、「NB-IoT」こと「LTE Cat.NB1」や「LTE Cat.M1」ではカバーできないような用途に適している。 - いまさら聞けないSIGFOXネットワーク入門
IoTが拡大する中でネットワーク技術は必須となります。そのIoT向けのネットワーク技術として注目されているのが「SIGFOXネットワーク」です。本稿では、SIGFOXとは何か、どういう価値があるのかという点を分かりやすく解説します。 - いまさら聞けないLoRaWAN入門
IoTデバイスを開発する上で重要なLPWA(低消費電力広域通信)ネットワークのうち、自前で基地局設置ができることから注目を集めているのが「LoRaWAN」です。本稿では、このLoRaWANについて、利用者視点で解説します。 - Armの“囲い込まない”IoTプラットフォームがその先に見据えるもの
このところ、IoTプラットフォームに関するArmの巻き返しがちょっとすごいことになっている。2018年2月下旬から矢継ぎ早に展開を急拡大しているのだ。