HEV用SiCインバーターの体積がさらに半減、非対称構造でモーター出力密度を向上:電気自動車(1/2 ページ)
三菱電機は、世界最高の電力密度を持つハイブリッド車(HEV)用パワーユニットと、世界最高クラスとする出力密度のモーターを開発した。パワーユニットは2024年度以降、モーターは2020年度以降の事業化を目指す。
三菱電機は、東京都内で2019年2月13日に開催した研究開発成果披露会において、世界最高の電力密度を持つハイブリッド車(HEV)用パワーユニットと、世界最高クラスとする出力密度のモーターを披露した。パワーユニットは2024年度以降、モーターは2020年度以降の事業化を目指す。
約2年で体積をほぼ半減
披露したハイブリッド車用パワーユニットは、同社がこれまで開発に取り組んできたSiC(シリコンカーバイド)パワー半導体の最新成果となる。高密度実装技術を適用したフルSiCパワー半導体モジュールと、SiCのもつ高速スイッチング特性を生かした高周波駆動によりパワーユニット内の部品を大幅に小型化した。体積は世界最小となる2.7l(リットル)、電力密度は世界最高の150kVA/lを達成している。
ここまでの大幅な小型化と高密度化は、パワーユニットを構成する各種部品の小型化によるところが大きい。フルSiCパワー半導体モジュールとノイズフィルターの体積が従来比3分の1、リアクトルとコンデンサーの体積が同2分の1になっている。
フルSiCパワー半導体モジュールでは、制御基板への絶縁コーティングによる基板小型化と制御端子の配線構造の改良によるデッドスペース削減が寄与している。ノイズフィルターは、ハイブリッド巻線による新構造の採用で大幅な小型化と低ノイズ化を実現した。このパワーユニットは2モーター制御を前提としているが、駆動用と発電用のインバーターに由来する2つのノイズが重ならないように分散する制御を行い、電磁ノイズの最大値を抑える工夫も図っている。
リアクトルは、高周波駆動化でインダクタンスを低減するとともに、注型コア材によって複数コイルを一体化した。コンデンサーは、同じく高周波駆動化で容量を低減した上で、水冷専用のアルミ筐体による高放熱構造を採用した。
同社が2017年5月に発表した「HEV用超小型SiCインバーター」は、体積が5l、電力密度が86kVA/lで、従来比で50%以上体積を半減したとしていた※)。今回披露したハイブリッド車用パワーユニットは、2モーター方式のハイブリッド車に対応する2つのインバーターと1つのコンバーターで構成される点で同じでありながら、約2年間でさらに体積を46%削減し、電力密度は74%増加していることになる。
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