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製造業にも役立つブロックチェーンの3つの特徴製造業ブロックチェーン活用入門(前編)(3/3 ページ)

「インターネット以来の発明」と言われ、高い期待が寄せられているブロックチェーン。本稿では、製造業向けにブロックチェーン技術や適用範囲、さらに活用メリットを前後編に分けて解説する。前編ではまず、ブロックチェーンの技術的な仕組みについて取り上げてみよう。

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ブロックチェーンの適用事例――広がるユースケース

 ブロックチェーンの仕組みは、さまざまな分野での活用が期待されている。では、「データの内容をさかのぼって確認できる」「改ざんがされにくい」「参加者全員で全ての取引情報を共有する」という特徴は、どのようなユースケースでそのメリットを発揮するのだろうか。

 まずは、「トレーサビリティー」の観点だ。例えば、食肉の流通管理では、「どの畜産農家がどうやって育成したのか」「どこの解体業者が、いつ解体したのか」「どの加工業者がどのように加工したのか」といったデータをブロックチェーンで管理することで、消費者がその流通経路を追跡確認できる。

食肉流通管理のトレーサビリティー確保にブロックチェーンを活用するイメージ
食肉流通管理のトレーサビリティー確保にブロックチェーンを活用するイメージ(クリックで拡大)

 「情報共有」の観点からは、在庫状況の最適化が考えられる。具体的には、調剤薬局で販売する薬剤の在庫をブロックチェーンで管理し、薬局間で薬を融通するといった具合だ。調剤薬局では、扱う薬剤の種類が多く、在庫と消費期限管理が課題となっている。近隣の薬局同士がブロックチェーンで「どの薬が」「どの薬局に」「どれだけ在庫があり」「いつ消費期限が切れるのか」といった情報を共有できれば、調達や薬の移動追跡、取引データの安全性を高めることができる。実際、こうした実証実験は、複数の医薬機関で実施されている。

 他にも「情報共有の仕組みを安価に構築できる」という特徴は、不動産登記や医療機関同士による患者の医療情報、さらに宅配情報などの分野での活用が期待されている。もちろん、証券、保険、金融など資産情報の管理にもその効果を発揮するだろう。

 では、製造業ではどのようなユースケースが考えられるのか。トレーサビリティーや情報共有の特徴を考えれば、2018年に大問題となった品質関連の「データ偽装」「データ改ざん」といったトラブルを防止できるはずだ。さらに、IoTとの連携までも視野に入れれば、その活用領域はさらに拡大するだろう。

 実は、IoTとブロックチェーンは密接な関わりがある。後編ではIoTとブロックチェーンの関係を踏まえ、製造業におけるブロックチェーン活用のメリットを考察してみたい。

プロフィール

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唐澤 光彦(からさわ みつひこ) NTTテクノクロス エンタープライズ事業部 マネージャー

2016年からブロックチェーン関連の開発業務に就き、ブロックチェーン可視化パッケージ「ContractGate/Monitor」の企画・製品化・プロモーションを担当。ブロックチェーンの仕組みや事例を解説するセミナーなどにも登壇している。入社当時からセキュリティ関連部署に属し、プログラム開発やシステムエンジニア業務を経験の後、製品企画や製品化、プロモーション活動に従事してきた。これまでに、特権ID管理ソリューションの「iDoperation」、IT資産管理ソリューションの「iTAssetEye」の製品化・立ち上げに携わっている。

NTTテクノクロス ブロックチェーン
https://www.ntt-tx.co.jp/products/contractgate/

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