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製品データをどう活用すべきか、製造業のサービス化は小さく素早く簡単に製造業IoT

製造業のIoT活用は広がりを見せている。その中で今後拡大すると見られているのが、製品のIoT化によるデータを生かしたサービスビジネスの構築である。ただ新たなビジネス構築は容易ではない。製品のIoT化へのポイントにはどういう点があるのだろうか。

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 製造業のIoT(モノのインターネット)活用が本格化している。各種センサーや通信モジュールの小型化と低価格化、低価格の通信サービスの普及、データ処理能力の向上などを背景とし、IoTによるデータを活用することで、自社の業務の改善や新たなビジネス構築を実現しようとしているのだ。

製造業のIoT活用が本格化

 製造業がIoTを活用する動きには大きく分けて2つの方向性がある。1つは、プロダクト系IoTだ。自社製品にIoTの仕組みを実装し、顧客先での稼働開始後もさまざまなデータを収集することで、従来にないサービスを提供するものだ。

 デジタルトランスフォーメーション(DX)とも呼ばれる変革の中で、製造業においてもビジネスモデルの刷新が急務となっている。機器や装置などの製品を販売することで収益を得る「モノ」を中心とした従来のビジネスモデルから、顧客に新たなエクスペリエンス(体験価値)を提供することで継続的に対価を得る「コト」を中心としたビジネスモデルへの転換が求められているのだ。そうした中でのコア技術となるものこそ、まさにプロダクト系IoTに他ならない。

 もう1つが、スマートファクトリー系IoTである。工場内のさまざまな装置や機械、ロボットから稼働情報や実績情報などを収集し、状況をリアルタイムに可視化し、制御することで、生産活動の最適化や自動化を実現するものだ。こちらは社内の業務改善の方向性で利用が進んでいる。

 これらの2つの方向で盛り上がりを見せるIoTだが、難しい面もある。IoTを活用するには、センサーやデバイスなどの技術、センサーから情報を収集するネットワーク関係の技術、データを蓄積する情報基盤、さらに集めたデータを分析するAI(人工知能)やビッグデータ分析技術など、多岐にわたる技術や知見が必要となるからだ。これらの幅広い領域を1社で全てカバーすることは世界中のどんな企業でも不可能だ。そこで、自社に足りないリソースについては他社との協業で実現する必要がある。

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NSW 執行役員 サービスソリューション事業本部 副事業本部長の竹村大助氏

 こうした製造業のIoT活用支援に早くから取り組み、数多くの実績を重ねているのが、日本システムウエア(NSW)である。同社 執行役員 サービスソリューション事業本部 副事業本部長の竹村大助氏は「IoTがまだM2Mと呼ばれていた2013年5月に米ThingWorx(現PTC)とパートナー契約を締結しました。同社のノンプログラミング開発環境をベースとした独自のIoTプラットフォーム『Toami(トアミ)』を開発し、多くの企業に導入してきました。既に100社を超える顧客のIoT導入を支援しています」と語る。

 「Toami」そのものはどの業種でも使える汎用的なIoTプラットフォームだが、実質的にユーザーのほとんどを占めているのが、製造業だという。同社 サービスソリューション事業本部 営業統括部 第二営業部 副部長の大野博隆氏は「Toamiの展開は全方位で進めていますが、現状ではIoT案件の70%以上を製造業が占めています。製造業のIoTへの関心は非常に高いといえます」と話す。

 NSWはなぜこれほど製造業のIoT活用で支持を受けるのだろうか。同社はもともとの事業として、ITやネットワークなどのシステム開発事業と、組み込みソフトウェアの開発などを含めたデバイス開発事業の2つの主力事業を展開してきた。竹村氏は「IoT活用を進めるには、ITやネットワークだけではなくデバイスなどの知見も必要になります。当社にはこの両面でノウハウがあります。一連のソリューションをエッジ領域からクラウド領域まで包括的に顧客に合った形で提供できる点が強みです」と述べている。

すぐにIoT活用を始められるプラットフォーム

 「Toami」が製造業から支持を集めたのにもいくつかの理由がある。

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NSW サービスソリューション事業本部 営業統括部 第二営業部 副部長の大野博隆氏

 「IoTに必要なものが全て詰まった、すぐにIoTを始められるプラットフォームであり、IoT活用のそれぞれの場面での利便性を大きく改善できます」(大野氏)。データを集めてから活用するまでそれぞれのフェーズで必要な機能を包括的に備えている点が評価を受けているのだ。「Toami」の持つ主な機能は以下の通りだ。

  1. データを「集める」:「Toami」サーバと機器および装置を接続する専用アプリケーション、SDK、OPCサーバ(Kepware)など、多様なプロトコルに対応した情報収集の仕組みを標準提供。各種デバイスとのセキュアな双方向通信環境を容易に構築できる
  2. データを「ためる」:PostgreSQLやMicrosoft SQL Serverなどのリレーショナルデータベースのほか、NoSQLデータベースを採用することで大量データの蓄積や処理に対応。また、イベント駆動型の処理エンジンを備え、センサー機器から送信される大量データの内容をリアルタイムに監視できる
  3. データを「見る」:リッチでインタラクティブなアプリケーションを、ドラッグ&ドロップの開発環境を活用して簡単に作成できる
  4. データを「使う」:IoTで収集したビッグデータに対して、AI(人工知能)や統計的手法に基づいた分析を行うサービスとして「ToamiAnalytics」を提供。機器から収集したログなどの時系列データから画像、動画まで収集したデータを活用して課題解決を図る
  5. データを「守る」:物理層からアプリケーション層まで一貫した強固なセキュリティ環境を提供。顧客情報や生産情報などの重要データを不正アクセスから守る
  6. データを「つなぐ、広げる」:基幹システムや各種Webサービス、ソーシャルメディアとの連携、さらには個別開発によるデータ連携にも対応する

 こうした機能を包括的に抱えるIoT基盤が重要であるのは「IoT活用のスピードを速められる」からだ。「今すぐ使える仕組みを使って、思い付いたサービスを素早く具現化してフィールドに投入し、顧客がどう受け止めたかを肌身で感じることが重要です。その試行錯誤の中から初めて真のニーズをつかみ、新たな収益につながるバリューを創出することができるのです。そうしたクイックなIoTの取り組みには、IoT基盤は欠かせないものとなります。われわれはToamiをベースに早いサイクルでのトライ&エラーをサポートしていきます」と竹村氏は強調する。

Microsoft Azureを選んだ3つの理由

 実はこのスタンスこそが、NSWが推進するIoTソリューションビジネスの最大の特徴となっている。

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NSW 企画室 事業戦略担当 マネージャーの清水久視氏

 「IoTツールは、既に市場で飽和しています。また、要求通りのシステムを提供するだけの旧態依然としたSIの手法では、IoTによる課題解決を行うことはできません。顧客と一緒になって新たなサービスやバリューを作り上げていく『共創』こそが重要なのです。逆にいえばその強みを発揮していかなければ、NSWのIoTソリューションビジネスに発展はありえません」と同社 企画室 事業戦略担当 マネージャーの清水久視氏は語る。

 こうした「スピード」と「共創」を柱とするNSWのIoTソリューションを支えているのが、マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」である。IoTシステムを実現する上でクラウドとの連携は欠かせないが、世の中で無数にあるクラウドサービスの中で、NSWはなぜ「Microsoft Azure」を選んだのだろうか。竹村氏は、次の3つの“理由”を挙げる。

 第1は、IaaSやPaaSの多彩なサービスの充実である。「Microsoft Azure」には、何十億ものIoT資産を接続して監視し制御する「Azure IoT Hub」、クラウドで生成したインテリジェンス(AIモデル)をエッジデバイスに提供する「Azure IoT」、高精度の機械学習モデルを素早く構築して実装する「Azure Machine Learning」、学習済みの顔認識や音声認識、画像認識などのAIモデルをAPIとして提供する「Azure Cognitive Services」、グローバルに分散されたマルチモデルデータベースの「Azure Cosmos DB」など、エッジコンピューティングを含めたIoTシステムを構築するための機能が豊富に用意されている。

 「信頼性も高く、自由に拡張することも可能です。仮に同じ機能を持つ基盤を自社のみで作り上げるとすれば、膨大な時間とコストを費やしてしまい、低コストでサービス提供を行うのは難しくなります」と竹村氏はAzureの持つ価値について語る。

 第2には、セキュリティとプライバシーに関する明確なガイドラインの確立がある。例えば、国際的にデータの取り扱いに対する規制は厳しくなってきており、一般データ保護規則 (GDPR)、ISO 27001、HIPAA、FedRAMP、SOC 1、SOC 2 などの国際的な業界固有のコンプライアンス基準などへの対応が求められている。加えて、オーストラリアのIRAP、英国のG-Cloud、シンガポールのMTCSなど国ごとの基準への対応も必要となる。

 これらも自社のみで対応する場合は非常に大きな負担になるが、グローバル展開を行う「Microsoft Azure」では既に各国の法規制にも対応している。「IoTサービスをグローバルに展開する場合も、Microsoft Azureを使えば国や業界のコンプライアンスに負担なく対応できる点を重視しました」と竹村氏は述べている。

 そして第3が、Azureパートナープログラムに基づいたエコシステムだ。「IoTシステムはAIや高度なアナリティクスと一体で課題解決を考えなくてはなりませんが、そこで必要な技術やリソース、知見を常に社内から得られるとは限りません。Azureパートナープログラムに加わることで、そうした足りない部分を補完する有力企業とすぐにつながることができるのです。歴史の長いパートナー制度を有するマイクロソフトならでは、層の厚いエコシステムが形成されています」(竹村氏)。

単なるリモート監視を超えた付加価値創造へ

 ここまでNSWが展開するIoTソリューションビジネスの概要を述べてきたが、実際にNSWはそこからどんな付加価値を生み出しているのだろうか。いくつかの事例から読み解いてみよう。

 医療機器メーカーの堀場製作所は、自社製の小型自動血球計数CRP測定装置をリモート監視するIoT基盤に「Toami」を採用し、総合保守サービス支援システム「HORIBA MEDISIDE LINKAGE」を構築した。

 これにより従来の定期点検だけでは困難だった装置の不具合を事前に予測して発見し、対応する予知保全を行うことが可能となった。さらに、同システムで取得したデータをクラウド上のアプリケーションと連携させ、機器の制御やデータ分析もサポートしている。検査技師のいない診療所やクリニックでも血液検査を行うことが可能となり、今後の病診連携へとつながるかつてない付加価値をもたらしている。

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堀場製作所の「Toami」活用の事例。医療機器の遠隔監視を行う 出典:NSW

 湯まわり設備メーカーのノーリツは、無線LAN対応の給湯器のIoT基盤として「Toami」を採用。入浴者の見まもりと遠隔操作をリアルタイムで実現し、浴室事故の低減と利便性向上に貢献している。

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ノーリツの「Toami」活用事例。給湯器の監視を行うことで見守りサービスを展開 出典:NSW

 さらにパナソニックも「Toami」を活用し、世界各地の大規模会場でのプロジェクションマッピングなどに使われる高輝度プロジェクターの遠隔監視システムを構築した。これによりファンの異常やランプの交換時期などを正確に把握できるようになった。加えてコールセンターやオンサイトサポートと連携したことで、手戻り工数の削減やダウンタイムの極小化、余裕をもったメンテナンスを可能としている。

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ノーリツの「Toami」活用事例。給湯器の監視を行うことで見守りサービスを展開 出典:NSW

 イベントで活用するような動きもあるという。2018年6月に開催されたアドベンチャーレース「NISSAN X-TRAIL Adventure Race Japan in NAGANO 2018」の国際レース部門で「Toami」を活用したという。アドベンチャーレースは、山や川などの大自然をフィールドに地図とコンパスのみを使いチームで複数のアウトドア競技をこなしながら数日間でゴールを目指す競技であり、選手の安全確保が課題となっていた。ここにGPS送信機と「Toami」を使い、選手の位置を常に把握し、大会を安全に運営できたとしている。

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アドベンチャーレースで採用されたGPSトラッキングシステムにおける「Toami」活用事例 出典:NSW

IoTで新規ビジネス創出の手助けを

 もちろん今後に向けてもIoTには大きな進化が期待できる。「データ収集から活用、さらにはデバイスレイヤーの開発まで、IoTへの取り組みをトータルに支援していきます。IoTはスマートファクトリーのように社内のプロセス改善などにも活用できる他、新たなビジネス創出にもつなげることができます。IoTを通じて顧客企業の新たな価値創出やビジネス創出に少しでも貢献していきます」と竹村氏は語り、日本の産業界を盛り上げていく考えを示している。

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竹村氏(左)と大野氏(右)(クリックで拡大)

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短期間・低コストで導入可能、製造業に最適なIoTプラットフォーム

IoTの業務活用には、センサー/デバイスやネットワークインフラの整備、プラットフォームの構築、アプリケーションの開発まで多くの課題をクリアする必要がある。その解決策となるのが、オールインワンのIoTプラットフォーム「Toami」だ。


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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2019年3月31日

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