安全機能とマルチスレッド機能を組み合わせた車載向けプロセッサ:車載半導体
Armは、自動運転対応のプロセッサ「Arm Cortex-A65AE」を発表した。自動運転の安全機能を実装しつつ、センサーデータの複数のストリームを効率的に処理できるマルチスレッドプロセッサとなる。
Armは2018年12月18日、自動運転対応のプロセッサ「Arm Cortex-A65AE」を発表した。自動運転の安全機能を実装しつつ、センサーデータの複数のストリームを効率的に処理できるマルチスレッドプロセッサとなる。
Cortex-A65AEは、車載用の「Automotive Enhanced(AE)」シリーズの最新プロセッサで7nmプロセスに最適化している。同社の「Split-Lock」機能による安全機能と、センサーデータ処理や車載情報機器(IVI)、コックピットシステムの高スループットニーズに対応した、同時マルチスレッド処理機能を組み合わせている。
次世代の自動自動車の車外には、カメラ、LiDAR、レーダーなど、周囲を監視するセンサーが装備されている。また、車内には、まぶたの動き、疲れ、体温、バイタルサイン、行動パターンなどを検知するセンサーなどが搭載され、センサーデータ数の増加が見込まれている。
Cortex-A65AEは、スループットに特化し、機械学習(ML)やコンピュータビジョンなど、アクセラレーターに接続したロックステップモードで利用することで、こうしたデータを安全で効率的に処理できる。
同社は、2018年9月に発表した「Arm Safety Ready」プログラムを通じて、安全な完全自動運転車の導入加速に向けた取り組みを進めている。販売中のAE製品「Cortex-A76AE」との併用により、安全性と性能、電力効率が発揮できるとしている。
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