VR/ARで新しいSOLIDWORKSは「もっと見える」ようになる:3D設計推進者が見たSWWJ2018(1/3 ページ)
2018年11月9日に開催された「SOLIDWORKS WORLD JAPAN 2018(以下、SWWJ2018)」に参加しました。今回のテーマとして「Simulation(シミュレーション)」が押し出されていた印象です。Simulationというと「CAE(Computer Aided Engineering)」のことを開発設計工程では示しますが、今回与えられたSimulationの定義は、「現物ができる前に何ができるのか」ということで、その活用範囲を広く感じました。
2018年11月9日に開催された「SOLIDWORKS WORLD JAPAN 2018(以下、SWWJ2018)」に参加しました。今回のテーマとして「Simulation(シミュレーション)」が押し出されていた印象です。Simulationというと「CAE(Computer Aided Engineering)」のことを開発設計工程では示しますが、今回与えられたSimulationの定義は、「現物ができる前に何ができるのか」ということで、その活用範囲を広く感じました。
さて今回のキーノートセッション(基調講演)では、メルティンMMI 代表取締役 粕谷昌宏氏が「EMBODY YOUR CREATIVITY beyond SINGULARITY〜人間の創造性が無限に発揮される未来へ」と題して登壇しました。
サイボーグ技術によってて身体を補完し、拡張されていく未来を感じると共に、既に事業化も進められているということで「バーチャルな世界で何ができるようになるのか」、大きな期待を持つことができる内容でした(関連記事:「サイボーグ実現を目指すベンチャー、ヒトは人体から解放されるのか」)。
講演タイトルにある「シンギュラリティ(Singularity)」とは、「技術的特異点」と訳されています。人工知能が発達することで人智を超えて、それが人間の生活に大きな変化を与えるという概念です。
私は以前、ある方にすすめられて、「シンギュラリティは近い――人類が生命を超越するとき」(レイ・カーツワイル著、NHK出版)という本を購入し、熟読しました。その内容は技術的には難易度の高い内容でしたが、現在多く取り上げられる「人工知能(AI:artificial intelligence)」がもたらす未来について書かれています。この本の原作「The Singularity Is Near」が出版されたのが、今から13年前の2005年というのも驚きです。ちなみに2005年といえばアップルのデジタルプレーヤー「iPod」が売れていた時代で、フラッシュメモリ型のMP3プレーヤーも流行していました。AR/VRなども、今ほどに見かけることはなかったころです。
SOLIDWORKSとVR/AR
ソリッドワークス・ジャパンより発表された内容については、「SOLIDWORKS Extended Reality(XR)」が特に目を引きました。SOLIDWORKS製品から、VR/AR(仮想現実/拡張現実)環境へデータを出力できるようになり、便利だと感じます(関連記事:表示パフォーマンスも爆速、SOLIDWORKS 2019の進化)。
以前は私自身も、VRは他人ごとに感じていたこともありましたが、装置産業界でもその重要性を感じるようになってきています。2D図面から3D CADと変遷し、その次にはVRによるデザインレビュー(DR)が普通になるのではないかと思います。
3D CADでも3次元空間上で設計モデルを見ることができますが、残念ながらあくまで「表示体に映した3Dモデル」なので、「没入感」や「実物としてのリアリティー」の表現としては十分ではありません。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.