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東芝メモリが取り組むサイバーファブ、なぜ工場デジタルツイン化を目指すのかMONOist IoT Forum 東京2018(前編)(2/3 ページ)

MONOist、EE Times Japan、EDN Japan、スマートジャパン、TechFactoryの、アイティメディアにおける産業向け5メディアは2018年12月18日、東京都内でセミナー「MONOist IoT Forum in 東京」を開催した。東京での同セミナー開催は3度目となる。前編では東芝メモリ デジタルプロセスイノベーションセンター 副センター長の伊藤剛氏の基調講演「メモリ製造業におけるAI活用『AI×メモリ!?』」の内容を紹介する。

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待ち時間を減らし、ボトルネック工程を解消

 東芝メモリでは、製造部門のKPI(重要達成度指標)として、メモリ容量当たりのコストを位置付けている。これらを高めるにはスループットの向上が重要になるが、歩留まりを一定水準以上に引き上げることは非常に難しい。さらに、フラッシュメモリの製品競争力の面で、約2年ごとに微細化や積層の増加など新世代のメモリ製造が必要になる。そのため同じ製造工程で製造をし続けることができないという世代交代の負担なども生まれるのである。

 歩留まりがそう簡単には高められないという点と、一定期間で変化が生じるという点を踏まえて、スループット向上のポイントとしたのが「装置での待ち時間を減らす」「ボトルネック工程を解消する」という2つの点である。

 半導体はウエハーというシリコン基板をさまざまな装置に行き来させることで製造を行う。自動車などの製造工程が一方通行で通過する「フローショップ型」であるのに対し、半導体の製造工程は1つの設備に対し何度もウエハーが出入りする「ジョブショップ型」となっている。そのため、ウエハーが装置で滞留したり、装置が稼働していない時間が増えることが生産リードタイムを大きく増やすことになる、四日市工場では、これらを削減するために、ビッグデータ分析やAI活用を進めている。

 装置間でのウエハーの滞留を抑えるためには、それぞれの装置が相互連携をするということが重要になる。またこれらの装置間の情報連携とともに、最適に制御するということが求められる。そのためにまずは、各装置のバラつきを抑えて平均値を一定にするとともに、各発生値のバラつきも抑えるということが重要になる。さらに最適なレシピをいかに作るのかということが重要となる。ロットをいかに早く移動し、ロットの置き場所や搬送工程の工夫、どの装置にどのロットを入れて着工するのかという着工管理が重要になる。

 「着工管理システムが心臓部となっている。こうした自動化とデジタル化で築き上げた枠組みを、北上の新工場や新たに建設する工場などに展開していく。デジタル化による整理が重要だ」と伊藤氏は述べている。

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東芝メモリ四日市工場第6製造棟のクリーンルーム内 出典:Western Digital

不良分析へのAI活用

 半導体製造は微細化が進み製造に伴う作業の多くが専用の製造装置に委ねられている中でも、以前は手作業による領域が多く残されていた。しかし、2005年に300mmウエハーに対応した製造棟を完成して以降は、自動化して少人数化を進め、人による誤差を減らしていった。自動搬送システムや着工管理システムなどさまざまな自動化システムの導入を進めていった。

 四日市工場では、これらの装置から上がってくるデータの活用を進めてきていた。「データそのものは早くから取れるようにしてきたが、徐々にその取る件数などを増やしてきていた。今では1日に20億件のデータが上がってくるようになっている。しかし、データの項目やデータ量が膨大になってくるとこのデータ分析そのものも、人手で全てを行うのが難しくなる。そこでこのデータ活用の領域でAIを活用している」と伊藤氏は語る。

 AIの活用については、まずは歩留まり解析の自動化で進めた。フラッシュメモリの製造工程はジョブショップ型で進められていると先述したが、複数の装置を行き来することで1つの工程が完成するという仕組みであるため、工程ごとに検査を行うことができない(原因特定ができない)という難しさがある。ある程度の工程を進んだ後検査を行うという仕組みを繰り返し、最後に電気特性を測定するという。そのため、不良が発生した時もどの工程の何が問題だったのかを見つけることが非常に難しかった。

 これを「AIを活用することで電気特性の違いから前工程の問題点を解き明かすという取り組みを進めている」(伊藤氏)という。従来は、不良の分類と原因調査、対策手法の膨大な組み合わせから選択肢を人間が選んでいた。しかし、AIの活用により不良の傾向を自動分類して、不良原因となった装置の候補を抽出。その候補と原因を組み合わせた「歩留まり新聞」を各担当者に自動で発行するという運用を進めているという。

 「以前はラインエンジニアが走り回って原因を特定していたのが、AI技術を活用することで特定の原因に対してすぐに対策できるようになり、運用が効率化した」と伊藤氏は手応えについて述べている。

 さらに、画像検査による不良の発見などもAI活用で精度が大幅に向上しているという。伊藤氏は「毎日加工の方法や装置を変えているわけではないのに、見たこともないような不良のパターンが出てくる。これらの相関性を見つけるのにAIを活用している」という。具体的には、不良分類のクラスタをディープラーニングで分類するディープクラスタリングを行っており、ターンアラウンドタイム(1回当たりのロットが生産ラインを通過するのに必要な時間)を大幅に低減することができたという。

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