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東芝メモリが取り組むサイバーファブ、なぜ工場デジタルツイン化を目指すのかMONOist IoT Forum 東京2018(前編)(1/3 ページ)

MONOist、EE Times Japan、EDN Japan、スマートジャパン、TechFactoryの、アイティメディアにおける産業向け5メディアは2018年12月18日、東京都内でセミナー「MONOist IoT Forum in 東京」を開催した。東京での同セミナー開催は3度目となる。前編では東芝メモリ デジタルプロセスイノベーションセンター 副センター長の伊藤剛氏の基調講演「メモリ製造業におけるAI活用『AI×メモリ!?』」の内容を紹介する。

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 MONOist、EE Times Japan、EDN Japan、スマートジャパン、TechFactoryの、アイティメディアにおける産業向け5メディアは2018年12月18日、東京都内でセミナー「MONOist IoT Forum in 東京」を開催した。東京での同セミナー開催は3度目となる。

 本稿では前編で東芝メモリ デジタルプロセスイノベーションセンター 副センター長の伊藤剛氏の基調講演「メモリ製造業におけるAI活用『AI×メモリ!?』」の内容を紹介する。

 中編では、ヤマハ発動機 フェローの平野浩介氏による特別講演「典型的な日本の製造業でデジタルトランスフォーメーションを推進するには?」を紹介し、後編ではVALUENEX代表取締役社長の中村達生氏によるランチセッション「大量の情報を俯瞰して未来を拓く」と、その他の講演について紹介する。

≫MONOist IoT Forumの過去の記事

東芝メモリはなぜ先進スマート工場を目指すのか

 東芝メモリは、東芝の経営危機による売却で、2018年6月に東芝グループから独立(東芝の持分法適用会社ではある)。世界2位のシェアを持つNAND型フラッシュメモリを中心に事業展開を行うが、フラッシュメモリの販売だけでなくサービスビジネスの展開なども進めているところだという。

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東芝メモリ デジタルプロセスイノベーションセンター 副センター長の伊藤剛氏

 NAND型フラッシュメモリは約30年前に発明された製品だが、あらゆる機器のデジタル化やIoT(モノのインターネット)化が進む中で、市場は大幅に拡大している。

 NAND型フラッシュメモリは微細化により容量拡大を進めてきたが、現在は3次元化が進んでいる。東芝メモリでは、2016年には48層、2017年64層、2018年に96層の量産が開始されたという。ただ、積層化が進んでいるといっても「被膜の厚みはDNAサイズであり、非常に小さく高精度な作業が必要となる。製造装置の制御性能が他分野の製品以上に必要になる」と伊藤氏はフラッシュメモリ製造の難しさについて語る。

 東芝メモリでは四日市工場を中心にNAND型フラッシュメモリ生産を行っており、デバイス開発は神奈川県の横浜市や川崎市で行っている。四日市工場には、研究棟とともに、Y1からY6までの5棟の製造棟があり、集中管理室での管理により生産を行う。2019年秋には岩手県北上市に新たな製造棟の完成も予定している。

 半導体の製造工程といえば、自動化が進んでいるように見えるが、四日市工場では6000人以上の技術者が関わって製造を行っている。「半導体製造装置が5000台以上、工程数も数百におよび、装置のメンテナンスやコントロールなどで人が必要になる。この領域が属人化しているという悩みがあった。人手不足の中でこれを北上工場に持っていくわけにはいかない。現在の人員を増やさないで四日市工場と北上工場を運用できるようにしないといけなかった。そこでAI活用でなんとかできないかということを考えた」と伊藤氏はスマート工場化への動機について語っている。

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岩手県北上市の新製造棟のイメージ図 出典:東芝メモリ
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