パナソニックに48人のエバンジェリスト、モノづくりから流通まで困り事に応える:製造マネジメントニュース
パナソニック コネクティッドソリューションズ(CNS)社は2018年12月17日、記者会見を開き、東京都中央区の同社本社に顧客接点強化のハブ拠点となる「カスタマーエクスペリエンスセンター」を設置したと発表した。CNS社が持つソリューションや製品を実際に体験することが可能な他、各分野の専門家が顧客とディスカッションしながらコンサルテーションを行う。同センターは2019年1月にオープンする。
パナソニック コネクティッドソリューションズ(CNS)社は2018年12月17日、記者会見を開き、東京都中央区の同社本社に顧客接点強化のハブ拠点となる「カスタマーエクスペリエンスセンター」を設置したと発表した。CNS社が持つソリューションや製品を実際に体験することが可能な他、各分野の専門家が顧客とディスカッションしながらコンサルテーションを行う。同センターは2019年1月にオープンする。
従来の同社ショールームは、商品ラインアップの展示や説明員による紹介にとどまり、見学がメインだった。これに対し、新設したカスタマーエクスペリエンスセンターでは、ソリューションでの展示や具体的な事例の紹介を行い、各分野の専門家であるエバンジェリストと対話、質疑応答しながら共創することを目指している。
CNS社が提案を強化する「現場プロセスイノベーション」は、パナソニックが培ったノウハウやロボティクス技術を活用して、顧客企業の製造、物流、販売を改善する取り組みだ。「製造現場の困り事と共通した課題が、物流や小売り、外食といったサービス産業にもある」(CNS社 社長の樋口泰行氏)と見込み、プロセス改革の余地が特に大きい業界として、流通や物流、製造にフォーカスしている。
実際に、さまざまな業種向けに二十数件のプロジェクトを推進中だ。2018年10月には中国の飲食チェーン向けに食材が載った皿をロボットが取り出して並べる「自動おかず倉庫」の導入を発表した※)。
※)関連記事:パナソニックが中国最大の火鍋チェーンの厨房を自動化も「まだ序章にすぎない」
企業名は非公開だが、小売業が手掛ける中食について製造ラインから配送までプロセス改善を進めている。また、ある物流会社では、倉庫での人手不足が課題となっていたが、ピーク時には人手がぎりぎりだが大半の時間は待ち時間であるということが明らかになった。「こういうところを取り除きながら整流化していく」(CNS社 上席副社長の片倉達夫氏)。2020年に向けては、国内外で累計100億円のプロジェクトが進んでいる。
現場プロセス本部と48人のエバンジェリスト
現場プロセスイノベーションを加速させるのは、パナソニックの各組織から集めた人材から成る350人体制の「現場プロセス本部」だ。2019年1月1日付で設立する。パナソニックシステムソリューションズジャパン、プロセスオートメーション事業部、モノづくりイノベーション推進室と生産技術センターといった部門に加えて、コンサルタントや上流工程からプロセスを設計できる人材もそろえた。
カスタマーエクスペリエンスセンターのエバンジェリストはテーマや分野に合わせて48人が在籍。物流や小売り、働き方改革、IoT活用、ネットワーク技術、教育など幅広いテーマをカバーする。同社本社に常駐していない遠隔地のエバンジェリストともやりとりするための設備やシステムもそろえている。「モノづくりイノベーション」に関しては、CNS社で製造・調達・ロジスティック 総括担当の一力知一氏が対応する。同氏はモノづくりイノベーション推進室の課長なども兼務している。
一力氏は「パナソニックの物流拠点を見ると、人員が必要以上に集まり過ぎることが多かった。人が多いのにうまく進まないことなどを分析し、改善につなげてきたノウハウを提供する」と説明。その一部がカスタマーエクスペリエンスセンターで展示されている。
「例えば、荷物がうまく流れないという課題から、荷物の登録に手間取っていたことを見える化し、これを画像認識で完了できないか……という経緯で生まれたソリューションがある。また、家電の製造ラインで作業者の体にかかる負担を部位ごとに分析してきた知見があるので、どうすればラクに作業できるラインを作れるかという指標も提供できる。全て自前ではなく、他社の製品も使ったソリューションだ。お客さまと話す中で、現場の課題が経営層から見えにくくなっていることを感じている。まずは現場の見える化が必要になる。どうするのが良いか、カスタマーエクスペリエンスセンターでお話ししていきたい」(一力氏)。
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