“箱”があるから強い、複合機での新事業構築目指すコニカミノルタの挑戦:製造業がサービス業となる日(2/2 ページ)
コニカミノルタおよびコニカミノルタジャパンは2018年12月10日、同社が海外で先行して販売した複合機とITサービスの進化型統合基盤「Workplace Hub プラットフォーム」と、同基盤上で可動する「Workplace Hub Platform Ready アプリケーション」を2019年4月から日本国内で販売開始すると発表した。
2019年春から日本展開を開始
今回新たに「Workplace Hub」を日本で2019年春から展開を開始することを発表した。欧米、日本ともに展開開始時期は当初計画よりも1年以上遅れているが「紆余曲折はあった。ハードウェアの開発というよりも先行顧客との価値検証に時間をかけてきた」と高山氏は述べている。日本については「入念な準備を進めてきた。特に従量課金制でのサービスを提供できるようにするための開発に時間がかかった」とコニカミノルタジャパン 代表取締役社長 原口淳氏は語る。
日本での展開について原口氏は「欧米以上に可能性がある」と自信を見せている。その理由としては中小企業でのIT導入が欧米に比べて遅れているという状況があるという。「欧米では中小企業でもIT専任者を置くなど、IT投資を積極的に行っている。一方で日本の中小企業はIT投資が少ない。その理由として最も大きいのがIT人材の不足である。従来のITベンダーではこの領域を満たすことができなかった。このブルーオーシャンを取りに行きたい」と原口氏は語っている。
具体的には、「Workplace Hub プラットフォーム」として、複合機のハードウェアやOSなどのオンプレミス基盤と、遠隔監視や遠隔保守、ストア機能、従量課金基盤などのクラウド基盤を組み合わせたハイブリッドプラットフォームを提供。このプラットフォームに向けたさまざまなアプリケーションを「Workplace Hub Platform Ready アプリケーション」として用意し、さまざまなITサービスを組み合わせて展開する計画である。
原口氏は「遠隔監視や遠隔保守機能により、中小企業がIT活用をできない理由であるIT運用者の不足をカバーするとともに、従量課金制により初期投資を抑えることでIT活用についての障壁を下げることを狙った」と述べている。
タワー型、ラックマウント型から展開開始
「Workplace Hub プラットフォーム」を構成するハードウェアとしては、複合機一体型の「Workplace Hub AIO」、ラックマウント型の「Workplace Hub Edge」、タワー型の「Workplace Hub Entry」の3種類を用意する。最初にタワー型モデルを2019年4月に投入し、その後ラックマウント型を2019年秋〜冬に投入する計画。複合機一体モデルの投入はそれ以降になるという。
タワー型やラックマウント型などは、既存のコニカミノルタの複合機と組み合わせて活用可能。これらを組み合わせることで「Workplace Hub プラットフォーム」としての役割を担えるという。
アプリケーションの展開については、開発者向けの支援プログラムを用意する計画。特にITベンダーとのパートナーシップを強化していく方針を示している。一方で、他の複合機メーカーとの協業については「現在は考えていない」(コニカミノルタジャパン 上席執行役員マーケティング本部長 杉本孝一氏)としている。
販売パートナーについては、従来の複合機の販売店などに向けて新たに教育プログラムなどを用意する。その他、SIベンダーやクラウドベンダーなどのパートナー開拓を進める方針である。
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