胸部単純X線検査で動画を撮影できるデジタルX線動画撮影システム:医療機器ニュース
コニカミノルタは、一般X線撮影装置で動画を撮影できるデジタルX線動画撮影システムを発表した。また、撮影したX線動画を独自の画像処理技術により診断精度向上に活用する、X線動画解析ワークステーション「KINOSIS」を発売した。
コニカミノルタは2018年11月19日、一般X線撮影装置で動画を撮影できるデジタルX線動画撮影システムを開発したと発表した。また、撮影したX線動画を独自の画像処理技術で診断精度向上に活用する、X線動画解析ワークステーション「KINOSIS(キノシス)」を同日発売した。KINOSISの標準小売価格は2246万5000円(税別)となる。
デジタルX線動画撮影システムは、アニメーションと同様の原理を用いて、パルスX線を1秒間に約15回連続照射し、コマ撮りした画像を連続表示して動画を作成する。
このX線動画は実際の胸部の動きを観察できるため、静止画と比べて多くの情報を得られる。また、同システムは体を起こした状態で撮影でき、日常生活での体勢に近い状態を観察できる利点がある。
同社はKINOSISにより、現在、静止画で提供している視認性向上のための画像処理技術を動画でも提供する。例えば「BS-MODE(胸部骨減弱処理)」では、鎖骨と肋骨を減弱することで肺野内を見えやすくし、「FE-MODE(周波数強調処理)」では、各構造物をより鮮明に見える処理をして、動きを観察しやすくする。
その他、構造物の動きを数値化しグラフ表示する「DM-MODE(特定成分追跡処理)」、肺胞や肺血管など肺組織の挙動に伴う信号値変化を捉えて、ディスプレイ上に表示する「PL-MODE(基準フレーム比計算処理)」「PH-MODE(相互相関計算処理)」
などがある。これらの機能により、CTやMRIなどを使用する前のスクリーニング段階の単純X線検査においても、一定の機能評価をするための情報が収集できる。
肺の疾患に広く用いられている胸部X線検査において、同システムによる動画での情報提供が、肺疾患の早期発見や効率的な治療に貢献することが期待される。
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