クルマと人の“真の共生”実現に貢献する「ミリ波」の可能性:自動運転技術(2/2 ページ)
パナソニックは100周年を記念して行う同社初の全社ユーザーイベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」を開催。その技術セミナーとして「安心・快適なモビリティ社会〜つながるセンサー」をテーマとし、独自のセンシング技術とその応用について紹介した。
ミリ波通信の持つ可能性
続いて、クルマの扱うデータ量の拡大に対して「ミリ波通信」への取り組みを紹介した。具体的には、ギガビットクラスの大量センサーデータの伝送を可能とする60GHz帯への取り組みについて説明し、これによって実現する4つのアプリケーションを示した。
ミリ波通信で実現する1つ目の価値として挙げるのが、高精細3Dマップのダウンロードである。以前から地図の更新などを通信経由で行うようなことは行われてきたが、ミリ波通信を使うことでより高速により簡単に行えるようになるため、例えば、ショッピングモールなどに自動車へ入る際に、立体駐車場の地図データなどをエントランスで瞬時にダウンロードしてしまうというような新たな使い方が期待されている。
2つ目はドライブレコーダーの蓄積データのアップロードである。バスやタクシーなどが、ドライブレコーダーに蓄積した大量の動画データを車庫などで1〜2分間でアップロードできるようにする。現状では事故や異常などがなければ活用しない場合が多いが、簡単に動画データを収集できるようになることで、運行管理や安全性確保のための動画データの有効利用ができるようになる。
3つ目が、隊列走行内での周辺モニター映像の伝送での利用である。これは最後尾の車両から、先頭車両へリアルタイムで、高品質な映像を送るような使い方を想定しているという。これにより、先頭車両のドライバーが隊列全体の運行に安心感を持つことができるようにする。
4つ目には、交差点のセンサーシェアリングがある。交差点および自動車などのセンサー情報を共有することで結果的に事故が起こらないようにするというものだ。具体的な取り組みとして、シンガポールでのデモンストレーションの事例などを紹介した。
ミリ波レーダー
最後に、公共事業でのミリ波レーダー応用事例について説明した。現在、パナソニックでは国内の交差点にミリ波レーダーを設置してさまざな実証実験を行っている。
実験で取得するデータは、横断歩道を渡る歩行者のサイズなどが検知できるまでになってきているという。自動運転社会の実現を目指す中で、今後はいかにセンサーの数を少なくし、リアルタイムで高精度にデータを取れるかが重要なテーマとなっている。ミリ波レーダーでの交差点情報などを活用することで交差点内での車のスピードや混み具合などが分かるようになる。
また、雨や雪の量の強弱による検出状況なども調べている。こうして集めたデータを解析し、処理方法を検討することがポイントとなる。パナソニックでは人の動きを真に理解するのを助けるための技術開発を引き続き進める方針だとしている。
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