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WRS2018ものづくり部門レポート〜絶食のドラえもんを救うチームは現れたのか?World Robot Summit徹底解剖(4)(3/5 ページ)

2018年10月17日〜21日、東京ビッグサイトで開催された「World Robot Summit 2018(WRS2018)」。本稿では「ものづくり」部門の「製品組立チャレンジ」についてレポートする。

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組立タスクはなぜ難しいのか

 そして最後に行われたのが、競技の“本番”ともいえる「組立」タスクである。この組立タスクは2日間実施され、3日目にサプライズパーツ無しで、4日目にサプライズパーツ有りで行われたのだが、まずは3日目の模様を先にお伝えしよう。

 ここで組み立てるベルトドライブユニットは、19種類の部品で構成。土台となるベースプレートに2枚のパネルを立て、それぞれにモーターとベアリングユニットを設置、プーリー間をベルトでつなげ、動力を伝える仕組みだ。

組み立てるベルトドライブユニット
組み立てるベルトドライブユニット。左奥にモーターがある(クリックで拡大)

 部品については全て事前にデータが公開されているのだが、やはり各チームとも苦戦。30分×2回のトライで完成できたチームは無く、1位は日本の「FA.COM Robotics」チームで、得点は27点だった(このタスクの配点は100点)。

FA.COM Roboticsはファナックのロボットを2台使用していた
FA.COM Roboticsはファナックのロボットを2台使用していた(クリックで拡大)
FA.COM Roboticsはここまで作ることができた
FA.COM Roboticsはここまで作ることができた(クリックで拡大) 出典:World Robot Summit

 各部品はボルトで固定していくが、部品同士を正確に重ねないとネジ穴の位置がズレてしまい、ボルトがうまく入らない。人間であれば無意識にやってしまうような作業であるが、これがかなり難しかったようで、失敗するシーンが多く見られた。

 このベルトドライブユニットの組み立ても、人間であればさほど難しくは無い。おそらく5分もあれば作れるのではないだろうか。ロボットの場合でも、従来通りの手法で、治具をたくさん用意して初期位置を決め、時間をかけて教示で動作を作り込めるのであれば、何の問題も無い。

 しかしこの競技が目指すのは、前回の記事で説明したように、迅速(アジャイル)で無駄の無い(リーンな)未来のモノづくりだ。そのためには教示レス、治具レスで組み立てられる能力が必要と考えられており、競技のレギュレーションもそこを重視している。ぱっと見ただけでは分かりにくいが、苦戦の裏にはそういうチャレンジがあるのだ。

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