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IoTから脱落した巨人インテルの蹉跌、かくもIoTビジネスは難しいIoT観測所(50)(1/3 ページ)

IoTの団体や規格/標準についての解説をお届けしてきた本連載も最終回。最後は、団体ではなくインテルという特定の企業のこの数年の動向を紹介しながら、IoTというビジネスを総括してみたい。

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 2014年9月の第1回から4年に渡ってさまざまなIoT(モノのインターネット)の団体や規格/標準についての解説をお届けしてきた本連載だが、IoTそのものが成熟化の兆しを見せ、もう今さら団体を作ったところで主導権を取れる状況ではない。今後は、新しい団体を作るというよりも、既存の団体あるいは規格を使いながら、その中でどう差別化してゆくかという方向性に次第にシフトしつつあるのが現状だ。そんな訳で、切りのよい第50回となる今回でそろそろこの連載を終わりにしたいと思う。その最終回だが、団体ではなくインテル(Intel)という特定の企業のこの数年の動向をご紹介しながら、IoTというビジネスをちょっと総括してみたいと思う。

IoTの標準化から取り掛かったインテル

 IoTという言葉は、あらためて紹介するまでもなく非常に範囲が広い。そのため、エンドポイントデバイスからエッジ、クラウドまで全てに関係してくる。これら全てをターゲットにする会社というのはほとんどなく(強いて言えば最近のArmがこれに当たるかもしれない)、大体はクラウドだけだったり(アマゾン(Amazon)の「AWS IoT」やマイクロソフト(Microsoft)の「Azure IoT」など)、エッジだけだったり(ここが通信キャリア系、あるいはアプリケーションプロセッサを利用するベンダー)、エンドポイントデバイスだけだったり(MCUベンダーなどがこれに相当)という形だ。

 Armはエンドポイントデバイス用の「Cortex-M」というIPと、エッジ向けの「Cortex-A」というIP、それと「Mbed Cloud」というクラウドサービスを提供しているという観点では全部ではあるが、ただし製品ではなくIPのみ(=別に半導体を製造するパートナーが必要)というあたりは、ちょっと同じに考えてはいけないのかもしれない。

 そうした中でインテルはなかなか果断であった。本来、同社はエッジ向けソリューションを提供するベンダーであって、「Atom」や「Core i」から「Xeon」までの幅広いプロセッサのラインアップは、エンドポイントにはあまりにパフォーマンス(と要求されるシステムコスト)が高すぎる。もちろんエンドポイントといってもさまざまで、もともとATMとか自動販売機、POSレジスターといった比較的大きめなエンドポイントでは同社のプロセッサが広範に利用されていた。

 そこで同社は、まずこのレンジの製品のIoT標準化を図る。それが2014年7月に発表されたOICである。もっとも、OICそのものは外部からは何をやってるかさっぱり分からない(そしてOICのビジョンは壮大すぎて、これをマジでやるつもりなのか判断付かない)という状況だったが、2014年末にはオープンソースベースのOICの実装を行う団体としてIoTivityを発足。さらに、OICそのものは2016年2月にOCF(Open Connectivity Foundation)へと鞍替えしている

 これにより、OCFというか、IoTivityとAllJoynという2大標準規格が並行して存在し、ただし相互運用性が保たれるという、なんとなく玉虫色の状況になった。これは当初インテルが思い描いた構図とは必ずしも一致していないものの、勢力図を考えれば妥当な着地点といったところであろう。

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